自身もしくは自己あるいは超然的複合生命

混沌に慄く現代の世界。光と闇は長年の均衡を破り遂に邂逅する。一元的な視界で世界を見ていた我々は、その運命的あるいは破滅的な出会いにより奇妙な奔流に翻弄される。我々もその一部だ。

 誰しも良い面と悪い面がある。その配合は個々人によって異なるが、どちらかが0であるといことはあり得ない。どんな絶望的な人間でも、希望を抱き。どんな楽天的な者でも、不安を覚える。個々人が持つ割合とは、そうした事態に出くわした後の行動を左右するものだ。絶対的な運命の指針たり得ない。その側面から光と闇のグラデーションは非常に流動性のある、人間的な指針だと言える。   

実態を持たぬ曖昧な方位磁針は、周囲の影響を色濃く受ける。周りから悪く言われれば、そんな気になってしまう。その逆も然り。当然、そうした移ろいやすさには個人差がある。ともあれ、人間の持つ指針には流動性があり、流動性が小さいほど、意志の強い、芯の一本通った人間と呼ばれるのかもしれない。

 しかし上記に記した「配合」と「指針の流動性」は別のものだ。配合に異常な偏りがあり、その上で流動性を失えば…手のつけられない「何か」となる。配合は他者の影響を受けにくい。その影響を配合の変化にもたらすかどうかは、指針を持つものに委ねられている。どうやら「流動性」が重要らしい。

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