意味不明な羅列
ヒューマノイド的文化人類学者が言った
「文化人類的な機能美とは、まさしく時空と記憶の狭間で現在、今この瞬間もなお、絶えず普遍的に再構築を描画する高性能3Dカメラのようだ」
会見が終わり、たくさんの記者が話し始める。僕は一人で会見の内容を整理し始めた。
しばらくしたところで、見慣れた人物が話しかけてきた。
「よお、次の記事はよく書けそうかい」
「どうだろう、町田教授の特集は毎度評判がいいからね。適当に書いてもそこそこ伸びるんじゃないかな」
彼はフリーのライターでウエノという。小学生の時の同級生で、今も付き合いが続いている。奇しくも同じ文章に携わる仕事についている。
「それにしても、文化人類学的知見から産業革命が起こるなんて思わなかったなぁ。」
ウエノが言う。
「そうだね。町田教授自体は量子論から民俗学まで幅広い分野で名前を残していたからね。しかしそれでもこんなことになるなんて、子供の頃は思わなかったよなぁ」
「そうだよなぁ。俺らがガキの頃なんて、クラスのやつの脳内チップをバグらせたり。道端の案内AIに喧嘩売ったりしてたもんな。」
「今思うとなかなかバカなことやってたなって思うよ。」
昔話に花を咲かせていると、黒いスーツの男が話しかけてくる。
「失礼します。シモノ様とウエノ様でしょうか」
「そうですけど」
そう返事をすると
「町田教授がお呼びです、お時間があれば是非お会いしていただきたく存じます。」
「どういうことですか?僕らは町田教授に呼ばれるような記憶はないんですが…」
「町田教授たっての希望ですが、我々も詳しいことは聞かされておりませんので…申し訳ありません。」
「ウエノ。この後空いてるか?僕はちょうど暇だったんだけど」
「おうよ、俺もちょうど何して時間潰そうか考えてたとこだ。」
「では、こちらへ…」
黒スーツに続いて歩き出す。
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