おかあさん、ごはん係やめます。 (2)


ごはん作る係を私(母)一人でやっていたが、一人でやるのがしんどくなり子どもたちを巻き込もうと画策し、早速提案してみた。
提案、と言うよりは勝手に宣言してみた。

「おかあさん、ごはん係やめるね。」

「え、えーっ!!、ごはんどうするの?誰が作るの??」と子どもたち。

「今日から、全員でやろう。作って食べるのってとっても大事なことだし、おかあさんとおとうさんだけでやってると大変だし疲れちゃうから、みんなでやろう!」

「うん!やるやる!一緒にやるやるー!」
「やる!」
「あたちもやるー。」

お、良かった。全員乗った!
これは幸先良いぞ。

子どもたちは料理のお手伝いが好きで、たまにお手伝いしてもらっていた。
が、子どもたちのお手伝いは余計に手がかかることも多く、私に余裕のある時だけにしていた。
そんなのも、もう終わり。これからは「お手伝い」ではない。
みんなの仕事。

慣れるまでは、母一人で作るより手間も時間もかかるだろう。
でもいいのだ。やり始めればいつかできるようになるだろう。
やり始めなければ、今のまま。
覚悟を決める。
一緒にやるのに疲れたならば、休んでもいいのだ。
とにかくやってみよう。

✴︎ ✴︎ ✴︎

今日の夜ごはんは焼きそば。
鉄は熱いうちに打て!で、栄養的にどうかはさておき
子どもたちと一緒に作りやすいメニューに。

一番上の子に人参を切るのを頼む。
下ふたりはキャベツを手でちぎる、玉ねぎの皮をむく。
帰宅した夫に玉ねぎをスライスを頼む。
私(母)は肉を炒め始める。
野菜を投入し、手が空いた子どもたちは順番に炒めている肉野菜を焦げないようにかき混ぜる。
「中華鍋は熱いから、絶対触らないようにね!」と念を押すも、真ん中の子は、手が当たり「熱っ!!」となる。幸い、やけどには至らなかったが、料理の怖いところを味わう。
体感したから次からは気をつけるだろう。やけどにならなくて良かった。。

麺の袋、ソースの袋を開けるのも頼む。
子どもでも簡単にできる作業だけど意外に面倒で、助かる。

麺を入れ、混ぜ、蒸し、ソースを入れるのは母が担当。
その間に食器や箸、コップを用意してもらい、あっという間に出来上がり。

こどもたちもワイワイ楽しんでやっていたし、意外にも最初からかなりの戦力になり、これはいいぞ。
一番上の子は、人参を切りながらちょこちょこ味見し、部分によって味が違うことを発見し教えてくれた。そして、わざといろんな形にカットし、「この形は大当たり、これは当たり」と、くじ引きのようにし、みんな自分のお皿にそれが入っているかドキドキしながら食べて、大いに盛り上がる。私はいつもやっつけで作業してしまうのでそのような探究心も遊び心もなかった。
いつからやっつけでやるようになったのだろう。考えさせられた第一日目だった。

続けてみよう。

✴︎ ✴︎ ✴︎

週末(3日目)、昼ごはんを作っている時のこと。

この食材は好きじゃないから入れたくない、ぼくはこれはヤダ、など好き嫌いを調理に反映させようとし始めた。

今までは出されたものを食べる(もしくは残す)しかできなかったのが、「作る時に自分の好きなようにすればいい!」と思ったようで3人がアレコレ言いだし収拾がつかない。
ムッとしつつも、とりあえず本人たちの主張の通りにそれぞれ作り、それを食べながらゆっくり話した。


・・・・・・

コレは、野菜が足りないね。野菜で摂ろうと思っていた栄養が足りなくなっちゃう。こういうごはんを続けていると元気なくなって来ちゃうかも。
コレは、嫌いな部分だけ取り除いたみたいだけど、その部分はどうしたの?誰が食べるの?もしかして捨てるつもりなの?

みんなが食べる食事を作る人は、食べる人が元気になれるように、元気でいられるように考えて作るんだよ。
味の好き嫌いだけじゃなくて、必要な栄養を摂れるように考えて作るんだよ。

材料は農家の人や酪農家の人たちや工場の人たちが時間と手間をかけて作ってくれたものだよ。生協の人やスーパーの人やトラックで運ぶ人とかいろんな人の力があって今、家にある。
大事に食べようね。

・・・・・・

子どもたちに向けて話しながら、言っている私も耳が痛い。ああ、私も食材を腐らせたり雑に扱っているよなあ。。。偉そうに言っているけれども。。
子どもと一緒に私も「食べる」を学んで行こう。

末っ子(3歳)には少し難しかったようだが、上ふたり(8歳、6歳)は静かに聞いていた。
それ以来は、作りながら「あれヤダ、これヤダ」は言わなくなった。

食材ってこんな風にできるんだ!を子どもたちと体感したい。
近くの農協で野菜の苗がたくさん売られていたこともあり、庭に野菜の苗を植えてみた。
ミニトマト、バジル、ブルーベリー、小玉スイカ、オクラ、エダマメ、ワイルドストロベリー。
猫の額ほどの庭だが、楽しみが増えた。
去年はプランターでミニトマト、バジル、オクラを育てていたが、今年から地植え。
種類も増やして果物にも挑戦。水やりを子どもたちにお願いした。

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1週間一緒に食事作りをやってみた。
子どもたちが基本的に自分たちもごはんを作るものだと認識したのは大きい。
何やろっかなー、とキッチンに来る。

ほとんど私がやってしまった日もあり、子どもが活躍した日もあり。
時間がなくパッと準備を済ませたい時には、ついつい私がほとんどやってしまう。
その方が楽。だがしかし、それでは前に進まない。少しでもいいから子どもたちにやってもらうようにしてみよう。

幸い、今は楽しんでやっている模様。やりたくない時はやらなくても良いので、そのまま調理を好きでいてほしい。
買い置きの市販のお菓子もなくなってきたし、週末は、お菓子でも一緒に焼いてみようか。

ごはん作りの負担から逃れたくて始めたけれども、食を見直すいい機会なのかもしれない。4月22日がアースデイだったこともあり、食に関して気になるトピックも耳にした。そしてたまたまこの日に映画「フード・インク」を見て打ちのめされてしまった。今までは自分や家族だけの健康しか考えていなかったが、全体のことを考えてから、我が家の食卓を考える時が来ているのかもしれない。認識をアップデートする時なんだと感じた。その辺りも私が先に調べてしまうのではなく、子どもたちと一緒に野菜を作りながら、ゆっくり体感していきたい。


つづく


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