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「小品」を吹こう!#3《マスネ/タイスの瞑想曲》

こんにちは!フルートのさとうよしえです。
漢字で書くべきか迷いましたが、本日もひらがなにしてみます。ひらがなってとても柔らかそうな感じで時々使いたくなるのですよね。こういうときはいつも自分が勝手に一杯一杯になって他に注意を向ける余裕がないときのように思います。

文章を書くということは本当に難しいですね。伝わるような文を考えて下書きをして読み返して手直しして、、そういう作業なのでやはり演奏とは全く違う脳を使います。これでも学生の頃は小論文が得意だったのですが・・・(自慢かい)

ということで今日はマスネ作曲のタイスの瞑想曲です(突然変わる(;'∀'))。

この曲は殆どの方がご存知だと思います。タイトルを聞いてピンとこなくてもメロディーを聴くと一度は耳にしたことあるでしょうね。

使った楽譜は前回使用したものと同じものです。

ですが少し変えたところがあります。

先日Farbeが配信したこの曲の動画はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=jjLXCOYdBHc

マスネと曲の概要

ジュール・マスネ(1842-1912)
マスネはフランスの作曲家でオペラでとても有名ですが、このタイスの瞑想曲は歌劇「マスネ」の中の第2幕第1場と第2場の間の間奏曲として作曲されました。原曲はハープとヴァイオリンで演奏されます。ですので、ハープらしいアルペジオに旋律が乗っています。

この曲の概要はこちらのNHKの「ららら♪クラシック」のバックナンバーが面白くて分かりやすいと思いますのでリンクを貼らせていただきます。その中の文面を引用させていただきます。

マスネが51歳の円熟期に書いたオペラです。意欲的に取り組んだ作品でしたが、テーマの過激さが原因で初演は失敗してしまいます。しかし、マスネは諦めることなく大幅な加筆をし、再演にかけました。この改訂版が成功し、「タイス」は世界中で上演される人気作となったのです。

これを読む限り改訂版がなければこの曲は今どうなっていたのでしょう。というかもともとの譜面はどのようだったのか興味がありますが、頑張って世に出してくれてマスネさまに感謝です!

ヴァイオリン原曲とフルート編曲版との違い

この曲はヴァイオリンで奏される通り長いフレーズが次々と展開されていきます。最初などはa tempoになるところまでのフレーズと取れますので、本来ならブレスはしたくありませんが、フルートでは健康上の問題がありますので私はフルートの旋律上のdim.、cesc.、a tempoなどの表記をもとにブレス位置の判断してます。

また、ヴァイオリンの音域とフルートの音域が若干異なります。低音Hより低い音はフルートでは出すことができないため、多くは1オクターブ上げて吹くようになってます。原曲の音色を損なわずに編曲しなければなりません↓

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この楽譜でとても工夫されているところがあり、中間部のPiu mosso agitatoの部分です↓

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名曲31選の方ではヴァイオリンと同じく、その始まりは低音Fでフォルテになってますが、今回使用した譜面では1オクターブ上げたFに短前打音で上がるようになってます。これは、フルートだと低音でFをフォルテで出してもピアノの音域と被さって何を吹いてるかわからなくなるのを懸念したのでしょう。短前打音で重音のように出すことで弦のニュアンスを出せればといことなのだと思います。しかし、私はあえてその装飾音符を抜いてアタックをはっきり目にしました。そうすることで音の立ち上がりが良くなると判断したからです。

それから、この1オクターブ上げたことで頂点のHから下がってくる、フルートだけになるカデンツ的なところは、原曲では一小節間のみですが、フルートでは2小節をとって再現部のF♯までたどりつくようになってます。もしも、ヴァイオリンと同じ音域で演奏した時にはこの一小節は要らないものとなります↓

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ハーモニーを大事にするか原曲に忠実であるべきかが問われる部分ですが、こちらの楽譜ではハーモニーを採られていると思われます。どちらが正しいというものではありませんので、この場合は自分の好みの問題になるのかな、と思います。

あと、最後の2小節の音の扱い方ですが、こちらの楽譜にはD(低)-ハーモニクス中音A-高音Aにになってます↓

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しかし、最後から3小節目にCalmato(静かに)との記載があるため、ここも相談してD(低)-A(低)-A(中)で静かに終わらせました。

まとめ

ということで、フルートとヴァイオリンはほぼ同じような音域を持つので、単純にフルートでも演奏できる、なんて思っていると結構辛いものになることがしばしばあります。。

作曲家が、なぜその曲をその楽器のために書いたのか、ということが編曲ものをやってみると分かります。こういったことも実感できるため、是非編曲ものにチャレンジしてみたら良いですね。

「フルートの名曲集」なるものの半分は原曲がヴァイオリンのものが多いと思いますが、できれば原曲の楽器の演奏を聴いたり調性を調べたり、譜面を見たりすると良いのではないでしょうか。

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