【時事】日本保守党 情報整理 その1
元々の知名度が高い百田尚樹氏と有本香氏が政党を立ち上げました。ネットではさすがに話題にならない日がないので、X界隈の方々は多少なりとも見たり聞いたりされた方が多いと思います。
作家やジャーナリストは一般人枠で、今まではある程度許容されていたような言説も、今後は与野党の議員や候補者が批判を受けるのと同様に「受けて立つ側」になります。既に色々と情報が出揃っているので、情報整理と検証を行っていきたいと思います。
※有権者の「知る権利」や、投票の際に知るべき情報としての「公益性」を有するものですので、遠慮はせずに書いていきますが、事実誤認がないように注意します。誹謗中傷は避けます。が、誤りがあればご指摘ください。
殺伐とすると思うので、ヘッダーは綺麗な画像にしました。
あと、画像が多いとやたら長くなるので、リンクの表示を変更。
01. 時系列
01-1. 結党のきっかけ
2023年06月10日 百田氏、新党立ち上げ発表
01-2. 現在に至るまでの経緯
2023年09月1日 X上にてアカウント開始
Xアカウント始動
2023年09月13日 党名発表
フォロワーが20万人を突破したので党名発表
「日本保守党(Conservative Party of Japan)」
2023年09月26日 Abema Prime 出演
番組はこちら。
2023年09月30日 サイトOPEN、党員募集開始
党員募集開始
【10月】
2023年10月17日 結党パーティー
16:30 結党記者会見
19:00 結党パーティ
2023年10月28日 名古屋街宣
19:00 名古屋前(ゲートタワー前
2023年10月20日 櫻LIVE(櫻井よしこ司会)出演
会員限定につきプレビュー版リンクです。
2023年10月21日 東京2箇所で街宣
16:30 JR秋葉原駅電気街口駅前広場
19:00 JR新橋西口駅前SL広場
【11月】
2023年11月11日 大阪街宣
18:00 梅田駅ヨドバシカメラ東南角 ※後述
02. 結党宣言
この結党宣言の中で一箇所ピックアップ。
この2点が特に「日本保守党が訴えたい方向性」だと思いますので、自民党批判のニュアンスという前提で、ピックアップして検証します。
02-1. 移民政策について
批判の矛先は自民党の外国人流入の政策についてだと思われます。これは安倍政権時から基本路線は変わっていないのですが…。
自民党の路線の整理です。日本は少子高齢化で労働者が毎年減少していきます。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの試算では毎年50万人ずつ減少していきます。2022年平均の完全失業率は2.6%です。つまり「日本人だけではもう完全に労働力を賄うのは不可能」です。これは「いずれそうなる」ではなく、既にその状況、かつ毎年よりシビアになり続けるという話。
※安倍元総理の国会答弁で「移民政策は取らない」とありましたが、あれは「移民は永住を目的とする」という定義なので、定住・永住を目的としない(短期・中期滞在の)外国人労働者を含まないという考え方です。永住するのは「特定技能2号」や「帰化」というハードルを設けています。
「不足分だけ適正人数を、期間限定で」労働力を賄うのが自民党の方針と考えます。2022年8月の労働経済動向調査では、人手不足と回答した業種は建設業、運輸業・郵便業、医療・福祉。この3つは特に人手不足といえます。
ここに注力しているのが特定技能制度です。
企業に例えると「期間限定の契約社員」を適正人数雇用しているイメージに近いのではないでしょうか?まとめると自民党の方針は下記の通り。
❶ 現状、そもそも移民(永住者)はかなりシビアに絞っている。
❷ 短期・中期の外国人労働者も無尽蔵に招いている訳ではない。
❸ 何らかの形で日本人の労働力減少を補う必要がある
これに反対するのであれば「じゃあどうするの?」の代替案が必須です。
現在進行形の喫緊な課題なので、可及的速やかに。
02-2. LGBT理解増進法について
これも誤解が多いと思います。LGBTに配慮するのは「リベラル要素が強いからNG」という図式で考えておられる方が一定数いると思われますが、これは逆に「左派活動家の動く余地」や「自治体の野放図な条例制定に歯止めをかけられる」ものだと考えます。簡単に言うと「マジョリティもマイノリティも、優遇も差別もしないように」というものでしょう。
重要なのが「安倍元総理が反対していたのはLGBT差別禁止法」であって「LGBT理解増進法」ではないです。端的に言うと、「(左派が望む方向性の)LGBT法」は未だに成立していない」ってことです。多くの方が「LGBT関連の法制化全般」に反対していたという解釈をされている気がします。
例えるなら「スパイを恐れるあまり、スパイ防止法にすら反対する」みたいな現象が起きている気がします。この区別が非常に曖昧な方が多い。
❶ LGBT理解増進法は成立したが「LGBT差別禁止法」は阻止した。
❷ 安倍元総理が反対していたのは「LGBT差別禁止法」
❸ 国が指針を決めないと「左派活動家や自治体の条例」はやりたい放題
❹ したがってLGBT理解増進法に反対は左派を利する形になる
❺ そもそも「罰則なしの理念法」は小さい法案
ルールがなくて無秩序の方がいいんでしょうか?また、国防のように多くの人の生命を左右する問題でもなければ、税制のように多くの人の資産や生活に影響を与えるものでもないです。「みんな仲良くね」というだけの法案。
03. 減税日本・河村市長の政策確認
全てを確認すると長文になりすぎるので、ピックアップしていきます。
03-1. 減税日本の政策確認
減税日本の主要政策
2022年8月Ver.です。ここはさらっとソース提示のみ。
03-2. 河村たかし市長マニフェスト
2021年4月25日、名古屋市長に5選(4期目)任期満了は2025年4月です。
04. 日本保守党の政策確認
全てを抜粋すると長文になりすぎるので、ピックアップしての検証。
※税制は議論が数か月スパンになりそうなので、今回はさらっと。
※具体的なビジョンが見えにくくてピックアップを避けたものもあります。
04-00. 重点政策項目(総合)
ソースのご確認はこちらで。
04-01. 日本の国体、伝統文化を守る
名古屋城天守閣の木造復元完遂
河村市長(共同代表)の意向が反映されたものと思われます。これに関しては、少し前のこのニュースをご確認ください。
この木造計画は名古屋市のプロジェクトなんですよね。これを国政政党の公約で引き継ごうという形でしょうか?この資金を国庫から出す形なのでしょうか?
プロジェクトを国て、国民全体からの税収で賄うという流れでしょうか。
【私見】国政レベルでこれをやらなきゃならないんでしょうか?
LGBT理解増進法改正(特に児童への教育に関する条文削除)
結党理由が「LGBT法への反対」だったにもかかわらず、1項目の削除にトーンダウンしている感があります。これはもしかしたら「結党までの期間中にLGBT差別禁止法と理解増進法の精査を行った結果、反対する理由が減ってしまった」のではないかと推察。では、該当箇所についてまずは条文確認。
LGBT理解増進法全般に関しては前述のとおり。実はこれは昨日今日できたような浅いものではなく、長年かけて培われたノウハウが投入されます。
どこにどうメスを入れられるのでしょうか?これを削除するメリットは?
【私見】LGBT理解増進案が結党理由の割にはトーンダウンしてません?他の項目は問題ないのでしょうか?また、児童教育に取り入れる事に反対な理由は?
04-02. 安全保障
憲法9条改正(2項の一部削除)
過去最多の憲法審査会を開いている現政権では改憲議論も活発に行われています。日本保守党結党前に、こんな記事があります。
保守党結党より先に自民党安倍派が動いていますね。
自衛隊法改正(在外邦人、日本協力者の救助を可能にする)
自衛隊法は昨年の2022年に少しUPDATEされていまして、在外邦人の輸送や保護措置を可能にしています。が、ここには限界があって、戦闘になる可能性がある場合は単純な輸送と異なって、条件が厳しくなってしまいます。
これも改憲ありきではありますね。これについては高市議員と岸田総理のやり取りが議事録に残っています。高市さんのサイトから抜粋。
高市議員と同じ流れになります。
外国勢力による不動産(特に土地)買収の禁止
残念ながら今の法体系ではこれは不可能です。これに関しては高市早苗議員が解説、明言されています。
❶ GATS(General Agreement on Trade in Services)内外無差別原則がある
これはGATSの条件として「再度、土地取得を留保して締結しなおす」必要があります。参加国すべての同意が必要でハードルはかなり高いです。
❷憲法に定める財産権による
日本人が土地を売りたいとします。外国人がそれを購入したい場合に、国がそれを止めると「売っていれば入ってきたであろう収入を国が止めた形」になり、憲法で定める財産権の侵害になります。つまり不可能。
「だから今の法体系では土地取引規制ではなくて、土地利用規制が精いっぱいという事になっています」
これに対して有本氏は「OK!Cozy Up」でこう述べておられます。
ここでも、北海道での外資による土地取得が述べられていますが…。
取得は規制できない / 土地利用で規制するしかないのが結論かなと。
日本版「台湾関係法」制定
まずは台湾の基礎知識から。(令和5年4月データ)
日本も米国も英国も豪州も含まれていません。これは意外と過去の歴史、日中貿易、諸々の要素が絡みますので「台湾と連携して対中戦略を固めたい」という願望のみで動くわけにもいきません。個人的には「そうしたいお気持ちはわかるけど、具体的なプランニングはされているのでしょうか?」と。
まあ、どちらにしても対中関係は緊迫の様相なので、とにもかくにも経済安保法制でサプライチェーンの移管を終わらせておかないとですね。自民党はここを高市議員主導で進めつつ、台湾との連携強化を図っています。
これは「中国嫌い、台湾好き」だけで動けるものではないと考えます。これだけ台湾と緊密な関係値構築を行ってきた自民党さえ国交樹立に至っていないのですから。各国とのバランスを調整したうえでどう構築するかのプランニングが見えてこないと、何とも言えませんね。
04-03. 減税と国民負担率の軽減
消費税減税……まずは8%に、そして5%へ
まず、確実に起きるのが格付けの引き下げです。ムーディーズなど主要な格付け機関の信用格付けは下記の通り。(2023.12.13付)
S&P Global Ratings評価:A+
Moody’s評価 :A1
DBRS Morning Star評価:A (high) 77
国際通貨基金(IMF)は2019年に「日本政府は増大する社会保障費を賄うため、2030年までに消費税率を15%に上げる必要がある」と勧告しました。多分「そんな機関の勧告に従う必要あるの?」という疑問が出てくるでしょう。今年、事例がありました。チュニジア大統領のIMFの命令拒否です。
経済はどうしても家計という「ミクロ経済」的な側面に焦点が当たりがちですが、国際的な金融取引が大きく影響を及ぼす側面もあります。この勧告を無視して逆に消費税減税を強行したら、格付け機関は一斉に格下げに踏み切るでしょうし、日本の財政にに負の要素が加わるでしょう。
国内的には税収の減少が懸念されます。2020年の日本の消費税の税収は23兆3840億円で、税収全体の39.6%を占めています。ここが減額されて「社会保障に重大な余波が出る」のは想像に難くないですよね。
04-04. 外交
価値観外交 自由、民主主義、人権等の価値観を共有する国とのさらなる連携強化
岸田総理は安倍政権時は外務大臣を長く勤めていた方です。今の岸田政権以上のコネクションや外交実績を作り上げるビジョンが見えてきません。文言が漠然としているので、具体的なものが見えてくるまでは保留。
中国、北朝鮮を念頭に、近隣国での人権問題解決に向けた積極的な働きかけ
日本版ウイグル人権法、強制労働防止法制定を掲げておられます。日本保守党のこの条文がどこまでの範疇なのかは少しわかりかねますが、政府は既に人権デューディリジェンスを推進しています。まずは政府調達から。
公共調達における人権配慮について(内閣官房:2023年4月3日付)
昨年から法制化についても前向きに動いています。
なお、百田氏が罵倒したえりアルフィヤ議員は候補者時代から「人権デューディリジェンス法制化」を訴えておられました。その辺の候補者よりも「先を見ている」感を私は持っております。
なお、超党派でも下記の議連が発足。
えりアルフィヤ議員はここの事務局次長です。
百田代表が「バカ外国人」と評したえりアルフィヤ議員は、保守党が掲げたこの方向性をぐんぐん推し進めている方の一人です。
04-05. 議員の家業化をやめる
政党交付金を諸外国の事例に鑑み、半額程度に引き下げる
まずは政党交付金の交付要件。
では、どのくらいの額なのか?今年1月のNHKのサイトからピックアップ。
これを半額にするとどのような事態になるか?事業収入が一番多い共産党が圧倒的な資金力を持つ政党になってしまいます。
議席数が少ない政党でも政治活動が出来るのはこの政党交付金のおかげでしょう。これが適正なのかどうかは議論の余地があるとは思いますが、半額程度を訴えられるのであれば、その算出根拠が知りたいです。
資金管理団体の「世襲」を見直す
いわゆる「地盤・看板(知名度)・鞄(資金)」を引き継ぐことが出来る世襲議員についての政策です。二世・三世議員は若くして政界を志し、早くから当選する可能性が高い上、党内や地元政財界のコンセンサスも得られやすいです。また、閣僚クラスになるとシオニティ・ルール(長いキャリアの方が優遇されやすい)で「当選回数」がものを言います。これについては百田氏もAbema Primeで話されていましたね。ただ、法律で一律にルール化することは違憲の可能性が高く困難です(憲法15条1項「立候補の自由」)
これを防ぐために「資金管理団体の世襲見直し」が掲げられました。実はこれ、2021年7月26日の音喜多議員が先に訴えておられます。
また、日本保守党結党の10月17日より前の10月3日には立憲民主党が既に法案提出しています。
日本保守党オリジナルではないし、彼らが国政の舞台に立つ前には結論が出ているかもですね。
04-06. 移民政策の是正―国益を念頭に置いた政策へ
入管難民法の改正と運用の厳正化
まず、日本は難民条約に加盟しています。なので、難民をすべて拒否することは不可能、一定の受け入れ義務があります。ではどのくらい受け入れているのでしょうか?
申請数91,664人、受入数1,117人。つまり受け入れ率は1.21%に留まります。アメリカでは年間2~3万人、ドイツで年間数万人、フランスでも数千人、韓国でも申請した2500人の内100人弱を認定していますが、日本は毎年数十人規模でした。昨年は少し多かったようです。
内訳で多かったアフガンでは21年8月にイスラム主義組織タリバンが復権。現地の日本大使館で勤務していたアフガン人職員らが政変で日本へ退避、こうした人たちが難民認定され、全体を押し上げたとみられます。
ここでご注意いただきたいのが、難民はイコール永住許可が出た人ではないという点。また今年の入管法で話題になった通り「3度目の難民申請で強制送還が可能になった」という点もあり、無尽蔵に難民を受け入れている訳ではない点に留意が必要です。
特定技能2号の拡大、家族帯同を許す政府方針を見直す
特定技能2号の拡大については出入国在留管理庁のページでご確認を。これは永住を伴う形になるので、単なる外国人労働者とは違って「移民」と言ってもいい形だと思います。ただ、在留許可の更新は必要ですけどね。
では、現在特定技能2号の方がどれくらいいるでしょうか?実は「12人」です。先進国はどこも人材不足です。優秀な人材を確保するのが難しくなってきています。それなのに、2号に合格する人材は「少なすぎた」のです。
大手人材サービス企業であるアメリカのマンパワーグループが行った調査「2023 Global Talent Shortage」では、全世界の企業の77%が採用難という結果が出ています。日本は78%となり、世界各国の平均を超えています。
この条件を満たす人数が12人から条件緩和して増えたところで「日本の国益になる高度な技術を持つ人材が数十人増える」程度で、素行的にも人数的にも大きなトラブルは考えにくいのではないかと思います。
04-07. エネルギーと産業政策
エネルギー分野への外国資本の参入を禁止する法整備
これは大阪咲洲の上海電力騒ぎが浮かびますね。これも上で上げたGATSの内外無差別原則があるので、条約締結からやり直さないと不可能ではないでしょうか。当然、政府調達要件もGATSの縛りを受けます。
わが国の持つ優れた火力発電技術の有効活用
なぜ火力発電に言及するのに、原発再稼働を大きく取り上げないのか?が疑問です。おそらくは河村市長のマニフェストと乖離するからでしょう。これは後述します。
電気自動車への補助金廃止(日本の自動車産業の不利益をつくらない)
これはEV市場にトヨタが出遅れたからという事なのでしょうか?個別に各自動車メーカーのEV戦略を貼ると長くなるので、東京電力の記事をピックアップします。
EUは補助金を絞る方向にシフトしているところが多いですが、我が国はまだ推し進める方向ですね。
マーケティングの定説のひとつに「キャズム理論」というものがあります。ある製品の市場シェアが16%を超えると、非使用者は「自分も購入したい」と思うようになり、普及が加速するというものですね。中国は完全にキャズムを越えて普及フェーズ、EUはキャズムを越えるまでもう少し。レコードとCD、VHSからDVD、ワープロからパソコンへと移行するのを見てきた方も多いと思いますが「今後の発展分野」に国の後押しをさせないと…
04-08. 教育と福祉
留学生制度の見直し(安全保障の観点から出身国を厳選する)
「出身国を厳選する」というワードがいかにも保守党らしい気がします。安全保障の観点からというのは、日本の技術の海外漏洩を防止するという意味合いかと推察します。読売新聞の2021年記事をピックアップします。これは確かに由々しき問題です。
留学生は現在は「優秀な若い頭脳を各国で奪い合い」の状況なので、日本に欲しい人材なのですが、かといって流出は防止しなくてはなりません。過去にはこんな事例もありました。
現在我が国は外国人留学生を受け入れる方向です。これは移民政策の記事でも少し触れましたが「優秀な若い頭脳の確保」に加えて労働人口確保でもあります。
これを防止するのが「セキュリティクリアランス」ですね。高市議員のプレゼン能力が高く、わかりやすい動画です。
つまり、今自民を下野させるのは得策ではないかなと。
男女共同参画政策に関する支出の見直し
これ、もしかして昨年末のデマで誤解されておられるのでは…と。
これ、「男女共同参画」の予算は全省庁が計上した関連予算の合算。教育や介護、雇用などの社会保障費が含まれているものです。
令和元年度だと8兆円の内訳にこれが含まれます。
・介護給付費国庫負担金等(2兆8841億円)
・児童手当制度(1兆3480億円)
・子どものための教育・保育給付など(1兆1851億円)
・良質な障害福祉サービスの確保(1兆1731億)
条文の意図するところが不明瞭ですが、これはもしかしたら誤解が起点になっているもののような気がします。
05. 減税日本政策と日本保守党政策の乖離
両党の乖離があってもいいじゃないか?というお声もありそうですが、実は8月31日のZAKZAK上にて、有本事務総長は「数合わせの選挙互助会は目指さない」と仰っています。選挙互助会とはWeblioによると「選挙活動を有利に進めることをもっぱらの目的として結成された互助会のような政党。政策・理念の根本的一致がないまま選挙を前に結成された新党などを揶揄する際に用いられる語」とあります。要は「理念が一致しないのに利害関係で手を組む」パターンですね。
では本当にそうなのでしょうか?確認しましょう。
05-01. LGBT関連
【河村たかし】
「性の多様性やLGBTなど性のあり方への理解」として、「男女平等や男女共同参画など、男女だけを前提とした価値観のみ に留まらず、LGBTなど性のあり方の多様性についての議論を 深め、同性パートナーシップ制度を確立する」と記載があります。河村市長はLGBT理解増進法の方向性に賛意と解釈。
ちなみに名古屋レインボープライド(2023年6月)には名古屋市も河村市長も後援として名を連ねておられます。
これ、長いのでリンクのみでご容赦ください。ここのLGBTの箇所を読むと「元々LGBTに寛容だった(マニフェストまで掲げていた)が、有本氏に言われて色々考えるようになったが、未だに河村市長の中で結論が出ていない」と私は解釈しました。
でも、河村市長はLGBT関連項目をマニフェストに掲げて当選して、現在「任期中」なんですよね。市政の首長としてひっくり返していいのかなと。
【日本保守党】
LGBT理解増進法の改正(特に児童への教育に関する条文削除)を掲げておられます。廃案は目指さず、また児童の箇所のみにフォーカスが当たっている点で「当初の発言よりトーンダウンしてません?」と思うのですが、相対的には「この法案に反対の立場」と解釈。
05-02. 男女共同参画
【河村たかし】
「性の多様性やLGBTなど性のあり方への理解」として、「男女平等や男女共同参画など、男女だけを前提とした価値観のみ に留まらず、LGBTなど性のあり方の多様性についての議論を 深め、同性パートナーシップ制度を確立する」と記載があります。これも上記同様、推進の方向性と解釈。
【日本保守党】
上記の通り「条文のみでは意図が不明瞭」ではありますが、男女共同参画の予算に関して「男女共同参画政策に関する支出の見直し」とあるので縮小方向と解釈。
05-03. エネルギー政策
【減税日本】
「太陽光発電の支援」を掲げておられます。市役所本庁舎などで使う電気を再生可能エネルギーに切り替えています。
【河村たかし】
「ナゴヤ版カーボンニュートラルに全力投球」を掲げ「電力売買の一括契約と民間投資を組み合わせたエネルギーの地産地消に取り組み、カーボンニュートラルを見据えた名古屋スタイルとして、脱炭素の姿勢を打ち出す。但し、名古屋・日本の経済を支えた自動車産業に敬意を払った施策を展開」と記載。なお、河村市長は「脱原発を目指す首長会議」の現役メンバーです。
去年の会見でも原発に対して否定的でした。
【日本保守党】
見事に原発に関する言及を避けておられます。以前、どこかの動画で「現存する原発と、新規で建設する原発」について認めるだか認めないだか仰っていた記憶がありますが、どのみち保守党の理念は再エネ推進の名古屋市政とは乖離していますよね?
05-04. EV車
【減税日本】
「世界最先端の自動車環境都市の実現」を掲げ、バッテリー交換式EVタクシーの全面普及を達成し、世界最先端の環境都市を実現を目指しています。
【日本保守党】
「電気自動車への補助金廃止(日本の自動車産業の不利益をつくらない)」とあります。おそらくはEV市場におけるTOYOTAの立ち位置からの方向性かと思われますが…。
05-05. 選択的夫婦別姓
【名古屋市会】
令和2年に名古屋市会から政府や閣僚に向けて意見書を出しておられます。
【日本保守党】
百田尚樹のX上での「夫婦別姓」クエリで検索した結果がこちら
有本香氏での上での「夫婦別姓」クエリで検索した結果がこちら。
双方反対のお立場ですね。(有本氏も昔は賛成しておられました)
05-06.マイナンバー制度
【河村たかし】
「マイナンバー制度に反対。医療情報、預貯金情報、納税情報、福祉情報、介護情報など、市民のプライバシーを守る。マイナンバー(カード)は時代遅れ。スマホで住民票取得できる整備をめざす。マイナンバーコンビニ受領は想定試算1枚1,200円の税金必要、コスト高くて実は不便」とマニフェストに記載されておられます。
今年7月の動画も置いておきます。
【日本保守党】
05-07. まとめ
※河村市長が民主党時代に「国旗及び国歌に関する法律」に反対していたのは、少し時代が乖離しすぎるので割愛しました。
基本的に減税日本はリベラル寄りだと思います。日本保守党の方向性と一致しているとはなかなか考えにくいです。
「全て合意」とありますが、かなり噛み合っていないように感じられます…。また、8月末に「選挙互助会を作らない」と言っておきながら、その後すぐに「理念の合致しない減税日本に提携を打診に動いた」のにも違和感があります。おそらく「選挙互助会は作らない」発言は「自民公明の関係性」を批判したのだと考えますが、大々的に批判しておきながら即座に同じことをしているように感じられます。
もう一つ大事なのは「河村市長は上記のマニフェストを掲げて市長に当選し、今はまだ任期中」という事です。保守党の理念に寄せれば寄せるほど、市民の意向を無視する形にしかなりません。ここに乖離が出たため、減税日本の方の離脱が出たのに留意する必要があります。
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