【読書】カツセマサヒコ「夜行秘密」

「夜行秘密」という本を読んだ。カツセマサヒコさんの本は展開の面白さを補って余りある浅はかさに残念な気持ちになる。前作では不必要に多くの曲が載せられていることに、この著者は人から興味関心を持ってもらう1つのツールとして音楽を利用しているのだろうなという感想を抱いた。本作では本筋とは関係のないポイントでほんのちょっとだけセクシュアリティに関する記述がなされていたが、これについても社会問題となっている話題を不必要に入れることで人々の興味関心を惹こうとしているように思われた。その他、能力のある人が分野と関係のないポイントでの不祥事によって叩かれ人生が終わっていくに至る点を同情的に描いているシーンについては、本作がindigo la Endと関わっている点を考慮するとアンフェアなように思われた。それはまるで、新聞社でもともと勤務していた人が、誠意を持って必死に取材するほど周囲からマスゴミと言われてしまうと同情的にジャーナリストを描くかのようだった。スッキリしなかった。展開は面白くて好きなのに所々不快感を抱かせるポイントがあって残念。これは著者の問題というより自分の問題かもしれない。

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