【読書】村上春樹「やがて哀しき外国語」

「やがて哀しき外国語」という本を読んだ。村上春樹がアメリカ滞在中に感じたことを書いたエッセイ集。

村上春樹がアメリカに滞在しているタイミングでパールハーバーから50年の年となってしまい、アメリカに居づらかったというのは納得できた。と同時に、村上春樹自身はパールハーバーでの意思決定に一切関わっていないのにもかかわらず、日本人として居づらさや責められているような感覚を抱くということは、やはり日本人としての村上春樹という存在からは逃れることはできないんだなと思わされた。

またプリンストン大学(アメリカの一流大学)滞在中に村上春樹が感じた、プリンストン大学の構成員としての振る舞い方についての期待に関する記述も面白かった。アメリカでは階級の高い身分相応の振る舞いを身につけることが期待されている一方で、日本ではお行儀の悪いふるまいさえしなければOKという印象を受ける。日本の方が一見規範や暗黙のルールがきついように思えるが、実際にはアメリカでもそういう暗黙のルールがあるのではないかという発想にたつことができたのは良かった。

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