【読書】恩田陸「ネクロポリス(上)」

恩田陸の小説「ネクロポリス(上)」を読んだ。連続殺人事件が描かれているが、全く怖くない。これは筆者の力量不足ではなく、ある種宗教的な世界観がなせる業なんだと思う。

この小説では、おそらくお盆という時期・儀式について扱われている。お盆は死者や先祖が帰ってくると認識しているが、父親に「お盆に海に行くな。引っ張られるぞ。」という言い伝え(?)を聞いたことを覚えている。この小説でも連続殺人事件が起こっていて、おそらく犯人は死者ではなく生きている人間なのではと思って読み進めているが(下巻はまだ読んでいない)、それでもこの小説の舞台がお盆なので、ひょっとするとお盆に引っ張られるような、アクシデント的なものではないかという思いもある。

半年に1回自然災害でN人がなくなることと、半年に1回N人を殺す人物がいること、自分だと後者のほうが怖い。この小説ではたしかに連続殺人事件が扱われているが、どこか自然災害的な要因がからんでいるのではと思わせるので、あまり怖さを感じないのかもしれない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?