【読書】恩田陸「ネクロポリス(下)」

恩田陸の「ネクロポリス」を読み終えた。人が次々と死んでいくのに怖くないという印象を持っていたが、終わりも納得であった。

死者に会いたいと思った場合、生きている者が死者のいるところに向かうという方針と、死者が我々のいる世界にやってくるという方針との2つが存在する。この作品では2つの世界の間のようなエリアで両者が出会えたり出会えなかったりするという状況が描かれているが、そのエリアでは死者と会えるということが予め分かっているためか、出会っても怖いという思いを抱くことはなく、むしろ羨ましがられるという具合であった。

描かれているのは多分広大な大地で北欧かどこかかなと思っていたが、日本的な彼岸・お盆という概念が通底した気がする。日本っぽいけど日本っぽくない不思議な小説であった。


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