【読書】渡辺努「物価とは何か」

「物価とは何か」という本を読んだ。素晴らしい。分かりやすい。経済学に対しては数式を使って人の行動をモデル化すると思っていた。もっと言うと生身の人間の行動を無視しているとさえ思っていた。しかし、この本では各々の人間・企業がどんなことを思ってモノを売ったり買ったりしているかという生々しい所まで描かれていると思った。

例えば、お金が刷られればその分だけ物価が上がるという単純なモデルを紹介するのではなく、お金が刷られれても各々の会社が商品の価格を上げなければ物価は上がらず、価格を上げるためには「価格を上げても消費者は買ってくれるだろう」という期待が必要であるという主張は納得できつつも目からウロコであった。消費者が買ってくれると期待できれば商品の価格を上げるし、そう期待できなければ、商品の容量を減らしたり、ちょっと高い商品を新商品として投入したりする。

経済に心理が関わってくるとは正直あんまり思っていなかったが、この本を読んで経済は人間の相互作用の結果であると思うに至った。

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