【読書】ポール・ブルーム「反共感論―社会はいかに判断を誤るか」

「反共感論―社会はいかに判断を誤るか」という本を読んだ。面白かった。共感の非合理性について説かれた1冊。人助けをしたくてボランティア活動に行くが、実際に人を救うためにはボランティア活動をするよりも寄付活動をした方がより理にかなっているといった事例。苦しんでいる人物がマスメディアなどで取り上げられた結果、その人物への寄付が殺到した事例。目に見える被害者に共感して寄付や援助をするのはとても優しいことであるが、目の見えない被害者に対して寄付をしたほうが実はもっと合理的という事態もあるだろう。本書は特定の人物に共感して視野が狭くなることのリスクが描かれていると思った。共感するのは各々局面では悪くないが、全体を俯瞰する目で見るとちょっと考えものかもしれないと思うに至った。

いいなと思ったら応援しよう!