【読書】リチャード・セイラー「行動経済学の逆襲」

リチャード・セイラーの著書「行動経済学の逆襲」を読んだ。従来の経済学では人間は合理的に振る舞うことが想定されてきたが、行動経済学では人間は不合理に振る舞うと想定している点が大きなポイントであると言えるだろう。

自分が最も気に入ったのは以下の話である。

「もし、あるプロジェクトを実行するかどうかを決める権利を持っていて、成功する確率が60%ならどうしますか?」このとき成功確率は半分を超えているものの、自分なら「4割失敗するし、失敗したら責められるし…」と弱気になって、結局プロジェクトを実行しないように思われる。他の人もそうではないだろうか。

しかし、「もし、10個のプロジェクトを実行するかどうかを決める権利を持っていて、成功する確率が60%なら?」と聞かれると、全部実行して6勝4敗の勝ち越しを目指すように思われる。

これ自体は聞けば納得なのだが、1人につき1プロジェクトが任されている企業では、その臆病さ故に実行せず、結果的に得られたはずの「6勝4敗」を逃していると聞いてぞっとした。

1人1人の決断は自然であるがゆえに、自然なのにこんなに損をしてしまいうるのか…と驚いた。もう少し自分自身の不合理を理解しつつ、自分で自分を手懐けていきたいところである。

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