【読書】鈴木竜太・服部泰宏「組織行動 -- 組織の中の人間行動を探る」

「組織行動 -- 組織の中の人間行動を探る」という本を読んだ。豊富なエピソードや要所要所で出てくる学生同士の会話によって、全体を通して分かりやすい印象であった、一方、その分だけ内容が導入にとどまっているという印象も拭えず、初学者向け、あるいは組織行動の教科書ではなく組織行動に誘うための教科書という位置づけが良いかなと思った。

個人的には動機づけに関する言い回しで、駒になるのではなく指し手になるというものが印象に残った。誰かに動かされる立場であれば自分の意志で何かをするというのは却って迷惑かもしれない(監督を中心に統制されたスポーツチームの選手が、監督のサインを完全に無視して自発的に動いたらチームの和が乱れるだろう)。一方、自分が能動的に動く立場であれば、自分の意志で動くことが大切となる。駒の立場だと内発的動機づけを高めることは難しいだろうなと思った。

と、ここまで書いて思ったのは指し手だと意味が変わるのではないかということ。駒を動かすのは棋士であり、指し手とはどのように駒を動かしたかを意味する言葉である。なので、駒になるのではなく棋士になれというのが、誤解を生まない記述であろうか。細かいけど、ちょっと疑問に思った。

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