【読書】アリスミス「秋」

アリスミスの「秋」という本を読んだ。大学の非常勤講師として生計をたてる約30歳の女性と100歳の老人の交流を描く。ストーリーはないものの、興味深いエピソードが断片的に描かれている。

個人的に面白かったのはパスポート更新を行おうとするときの、郵便局員との対決である。郵便局員は写真に不備があるとか何とか言い四角四面な対応で融通がきかず、よく分からない文句をつけてくる。真面目すぎるのかなと思っていたらそういうわけではなく、写真屋さんと郵便局員とが癒着していることを示唆する形で述べられる。

このような、ありそうな描写があり、色々な人の日常をのぞき見しているような気分にならないこともなかった。ただ、何か別の作品を引用しているように見える箇所も節々に見られ、その元ネタについての知識を得た上で英語の原著で読むことが1番楽しめるのではないかと思った。

自分はミステリーのような大きな筋書きのある作品が好きなので、ちょっと苦手な1冊であったが、総じて読みやすかった。

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