【読書】田中辰雄・浜屋敏「ネットは社会を分断しない」

「ネットは社会を分断しない」という本を読んだ。内容はタイトルの通り。インターネット上では保守的な意見を持っている人もリベラルな意見を持つ人の意見を目にするし、逆にリベラルな意見を持つ人も保守的な意見を目にすることがある。自分と異なる意見に触れることで自らの意見は中庸なものになると考えられる。一方、テレビや雑誌などのインターネット以外のメディアではそうした傾向が見られにくく、例えば保守的な雑誌とリベラルな雑誌を併読する人は少ないだろう。ネットが分極化すると巷では言われるが、そうではないというのが本書の主張である。

では、なぜネットが分極化するかのような印象を人々が持っているのだろうか。それは、極端な意見を持った人が繰り返し書き込みを行っているからだと言う。憲法改正に対して特に強い意見を持っていない人はそれほど意見を書き込まないが、強く賛成(あるいは反対)の人は繰り返し書き込む。結果として、ほとんどの人が中庸な意見を持っていても目にするのは強い賛成意見や強い反対意見をが多くなってしまう。

理想的には、強い意見を持つ人がいるのはなぜかまで考えたい所だ。憲法や外交問題のような直接日常生活に影響することを実感しにくいトピックについて、強い意見を持つに至ったのはなぜか気になる。正直なところ極端な意見を持つ人間について理解できている気が全くしないので、自分もこのような経験をいていたら極端な意見を持っていたかもしれないという形での理解を行いたい所だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?