【読書】エトガル・ケレット「銀河の果ての落とし穴」

エトガル・ケレットによる小説「銀河の果ての落とし穴」を読んだ。短編集であった。解説によると超短編集であるが納得である。全部でいくつの短編があるんだ…という感じであり、誰もが最低1つは気になったり引っかかったりする作品と出会えるのではないだろうか。

気になったのはAIについての話。哲学の世界では、他者が人間であるかAIであるかを区別することができないという問題がある(哲学的ゾンビ問題)。この問題では自分が人間であることを前提にした上で他者が人間かどうかを判断するという状況が扱われる印象であるが、本作のある短編では、他者が人間であることを前提とした上で自分が人間であるかAIであるかが揺さぶられるという書きぶりがあり新鮮であった。

ただ、全体を通して個人的にはあまり好みでなかった。自分はざーっと読んでしまうところがあるので、短編の場合どこが山場だろうと思っているうちに話が終わっていることがある。おそらく相性の問題であるが、今回もそういう経験をしてしまった。

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