【読書】梨木香歩「ほんとうのリーダーのみつけかた」

「ほんとうのリーダーのみつけかた」という本を読んだ。小説家であるにもかかわらず小説という形式を用いずによりダイレクトにメッセージを伝えざるを得ないという切実な思いは時として何かに対する強い批判につながるが、この1冊は現状を憂慮する気持ちは表れつつも怒り感情は表れておらず穏やか。このトーンが素晴らしいと思った。

気になったのは、インスタ映えの話であった。写真を撮りそれを加工しアップロードし他者に見てもらうという一連の行為は、他者の目を強く意識せざるを得ないという点で自分を客観視する能力を養うと考えられる。しかし、ここで他者からの評価のみを求めてびくびくするようだと、それはもはや、主体性がないという状態に近づいてしまう。この観点でインスタグラムを捉えたことがなかったので、その点は新鮮で興味深かった。

非常に読みやすい1冊であった。

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