【読書】橋本健二「アンダークラス」

「アンダークラス」という本を読んだ。面白かった。アンダークラスとは基本的に非正規雇用のパートの方などを除いた層であり、その人達が置かれている経済的・心理的状況の厳しさが描かれていた。

気がついたことが1点。同じ非正規雇用のパートの中にも、旦那の収入を補うことを目指している人達と、この収入だけで生きていかなければならない人達がいる。家計の補助としてパートをしている人達はあくまで補助的役割であるので、ある程度の時給(例えば1000円)で満足する。しかし、後者の人達は自分の稼ぎだけで食っていかなければならないので、その時給では満足することができないだろう。パートを行っているという身分は同じでありながら、こうした対立が潜在的にあるのではないかと推測している。

上記の構造は夫の稼ぎがある人とない人との対立であるが、年金をもらっている人とそうでない人との対立もあるのではないかと思う。例えば近所に個人経営のお弁当屋さんがあったとして、一方の店は店主が年金暮らしなので年金を補う程度に稼げれば良いと思っている。そのためお弁当の値段も安く1食およそ450円でそこそこの味の弁当を提供している。一方でもう一方の店は年金ぐらしではないので、お弁当だけで稼がなければならないと思っている。そのためお弁当の値ははり、1食800円程度となる。年をとってもお弁当作りをする人に全く罪はない(どころか100年社会の観点からしたら望ましいかもしれない)が、そうすることが負の効果を周囲に与えるという点はちょっと考えておかねばならないなと思った。

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