【映画】SUNNY 強い気持ち・強い愛

映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」を観た。余命1ヶ月となった40代ほどの女性が、もう疎遠となった高校時代の仲良しグループのメンバーを探し求める物語。高校時代はリーダーキャラや田舎者キャラというキャラの違いはあれど、みんな同じ高校に通うという点ではフラットな関係性である。しかし、歳を重ねるにつれてそれぞれの階級はばらばらになってしまう。セレブな生活を送る者、結婚後に娘と一見幸せな暮らしを送る者、シングルマザーの者、仕事がうまくいかず大変な者、そして未だに行方がわからない者…。最後に彼女たちは揃うのか、そしてそれぞれのメンバーは集まってどんなことをするのか?時間のマジックが面白い1作であった。

本作で特徴的なのはいわゆる懐メロである。安室奈美恵、久保田利伸、trf、小沢健二などなど。こうした90年代のJ-POPが本作を彩っているが、個人的には好みではなかった。もちろん1曲1曲は好きなのだが、その曲が単に90年代の記号として消費されていることが残念であった。その当時の楽曲であれば入れ替え可能であるような気がして、安室奈美恵以外の曲については1曲1曲に対する思い入れが見えなかった。

また、本当の懐メロは現在では耳にすることのない楽曲であると思う。昔は聴いていたけど最近は聴いていない曲こそが懐かしいのであって、定期的に音楽番組で懐メロとして取り上げられるような楽曲は懐メロとされている曲にすぎず、もはや懐かしくはない。本作は懐メロではなく、懐メロとされている曲がほとんどでその点も残念であった。

大衆向けではない映画こそがこの監督の真骨頂なのではないかと思った。

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