【読書】篠田節子「夏の災厄」

「夏の災厄」という本を読んだ。未知の感染症に対してどのように対応するかが描かれた1作。公務員として前例に従わなければならないとう限界、迅速にワクチンを提供する必要性とその安全性を慎重に担保しなければならないというジレンマなどは、2019年以降の例の感染症である程度認識しているつもりであるが、それを描いた小説が1998年の段階であったなんて。そして描写のリアリティも素晴らしい。感染が出た地域に対する偏見であったり、犠牲は現場から起こることであったりという、痛みを伴う描写も逃げずになされている。長かったけど読んでよかった1冊。

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