【映画】悲しみに、こんにちは

映画「悲しみに、こんにちは」を拝見した。良い映画を見たと思った。以下若干のネタバレを含みます。

母親が亡くなり叔母の家で育てられることになった少女が主人公。母親が亡くなるという悲しみ、突然故郷から離れた場所で育てられる孤独感、伝染病を患っているので友人から避けられるシーン、そして何より叔母にちゃんと愛されているかという不安などから、反抗的な態度をとってしまうシーンが多々見える。

中でも最もアンビバレントな感情が見えるのはいとこに対してである。年の近いいとこと仲良くしたいという感情もある一方、叔母から絶対的に愛されているいとこへの嫉妬心も芽生える。森の中で迷子になったいとこを叔母が探すシーンや水で溺れそうになったいとこを叔父が探すシーンなど、叔母のいとこに対する愛情と主人公に対する怒りに近い感情が描けれており、双方の不器用さがよく見えるシーンであった。

結果、親戚の家での暮らしが嫌になった主人公は家出を試みるが、叔父も叔母も懸命に主人公を探している様子を目にし、これからはちゃんとこの家で暮らしていこうと決意する。ベッドの中で飛び跳ねる主人公・いとこと、それを遊びながらたしなめるおじが描かれたシーンがラストであるが、そこで描かれる幸福感と、なぜか涙を流してしまう主人公の喜びと悲しみが同居した感じがうまく描かれている印象で、ラストシーンも含めて良い映画だと思った。見てよかった。

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