【読書】有吉佐和子「花ならば赤く」

有吉佐和子の「花ならば赤く」という本を読んだ。短大卒業後に小さな口紅製造会社に就職した女性が主人公。年齢的には会社で一番下。年上の男性と遊ぶ(遊ばれる?)ような日々もあるが、決してそれだけで終わらないのが魅力。花ならば赤くという言葉がこの1冊のメッセージを強く表している。

あとがきも魅力的。あとがきは有吉佐和子の娘によって描かれている。娘が亡き母の作品を評価するのは難しい。高く評価すると身内贔屓。かと言って低く評価するのも忍びない。価値判断を含めずにこんな魅力的なあとがきが書けるものかと思った。亡き母から褒められるかもしれないし怒られるかもしれないけれども、今の自分はこの作品を書いたときの母親の年齢と同じだし、何なら母が亡くなった年齢に追いつきつつある。いつまでも年上だと思っていた母親が年を重ねられなくなり、気がつけば自分が追い越していたという経験の切なさ。素晴らしいあとがきだと思った。

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