【読書】吉見俊哉「戦後と災後の間 ――溶融するメディアと社会」

「戦後と災後の間 ――溶融するメディアと社会」という本を読んだ。2013年から2018年にかけて新聞に連載した時評を集めたものである。この間はずっと安倍政権であったことに驚いているが、いつまで続くのだろうか。

さて、この本で最も興味深かったのは少子化と高齢化の関連である。地方で産まれた若者はそこでずっと育つこともあるが、そのうちの何割かは東京の大学に行ったり東京の会社に勤めたりする。そのため、地方で産まれたからと言って、その地方で結婚しその地方で子育てをするというわけではない。

では、東京は子育てに適した場所なのであろうか。答えはおそらくNOである。地価や物価が高いので、子育てにまわせる費用に制限がかかる。制限がかかると何人も産むわけにはいかない。

また、生まれ育った場所での子育てであれば近隣住民の関係性もできているため一時的に子育てを手伝ってもらったり地域でかわいがってもらうということもあり得るだろうが、成人して東京に来た場合だとそうした子育ては難しい。そのため、子育ての負担を分散することが困難となり、両親にかかる負担も大きくなる。

こうした視点は持ったことがなかったが、東京が中心となって少子化対策を行っていくことが効率的なのではないかと思うに至った。

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