【読書】五神真「大学の未来地図」

東大総長による書籍「大学の未来地図」を拝読した。国も大学もとにかくお金がないのでいかにして投資を呼び込み、いかにして研究を促進するかについて記されていた。その意味で、大学総長には経営者としての役割も含まれているように思えた。以下、雑多な感想。

・イーロン・マスクで有名なテスラの時価総額はトヨタを上回るが、純利益ではトヨタが上回る。テスラの時価総額は現在作っている製品の魅力によって支えられているというより、その将来性によって支えられていると言えるだろう。将来への期待が投資を呼び込み、その投資をもって現在の事業を発展させることができ、当初の期待に沿った商品を開発できるという正のスパイラルがはまれば、これは最高の結果である。東大も研究組織である以上は目先の利益よりもその基盤となる物事の探求を行うが、それがいつお金になるかは読めない。そのため現在の利益に基づく投資というのは恐らく相性が悪く、この例のように将来の期待値に基づく投資を行ってほしいというメッセージを感じた。

・東大は理系も文系もある総合大学であり近年は学際的という言葉もよく耳にするが、実際問題どの分野で学際的な研究が行われているのかは正直よく分かっていなかった。本書では地震を例にしてその学際性の説明をしており、地震発生メカニズムを探求する理学部と、過去の地震の記録について解読する文学部が共同することで、少なくとも日本の地震研究は発展していく旨が書かれており、なるほどなと思った。

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