【映画】フルートベール駅で

映画「フルートベール駅で」を見た。黒人の主人公が警察官に射殺されるまでの数日間を描いた映画で、驚くべきことにと言うべきかやはりと言うべきか実話に基づいた一作である。以下、ネタバレを含みます。

本作はホームで警察官が何者かに暴行を加えているシーンが始まり、一体なぜこんなに暴行を加えられるに至ったかが映画の中で示される。結論から言うと、暴行を受けているのは黒人の主人公で、暴行を受けるほどの物事はしていないように見える。主人公はたしかに電車の中で乱闘を起こすが、それは別の乗客(白人)に危害を加えられてやり返したからであり、喧嘩両成敗が成立するなら主人公ももう一方の白人も悪いということになるだろう。しかし、警察が狙いをつけたのは黒人のみであり、暴行に関わった乗客を探すシーンでも、黒人に狙いをつけて容疑者候補を探しているように見える。さらに、容疑者候補を見つけたあとでも、警察官は黒人に対して暴力的な扱いを行う。電車の乗客など他の人達がそれを見ているのにもかかわらず扱いが酷いということは、他の人に見られてまずいものであるという認識がないからであるだろう。そして最終的に警察官は主人公を拳銃で撃つという行動をとり、主人公は亡くなってしまう。

近頃BLMという言葉を頻繁に聞くが、黒人が一体どのような理不尽に遭ってきたかということについては恥ずかしながら無知であった。この映画がどの程度フィクションでどの程度ノンフィクションであるかは分からないが、少なくともこの映画を見る限りでは黒人が警察官に対して怒りを抱くことは自然だと思った。

それに加えてデモという手法もある程度有効なのではないかと思った。この映画を見て驚きだったのは、他の乗客に見られているにもかかわらず警察が黒人に危害を加えていた点である。もし運動を通じて黒人の命の大切さがアメリカ国民全体の共通認識として構築されれば、少なくとも他の乗客に見られている状況下で警察官が一方的に黒人に危害を加えるケースは減るのではないかと思った。

もちろん黒人と警察官の間の不信感は一方的なものというより双方向的な側面もあるだろうが、それは不幸なものなので、早くこうした悲劇がなくなれば良いなと思った。

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