【読書】大竹文雄・平井啓「医療現場の行動経済学: すれ違う医者と患者」

大竹文雄、平井啓、両氏による「医療現場の行動経済学: すれ違う医者と患者」という本を読んだ。行動経済学を一通り知っている人にとって真新しい情報は多くないように思われるが、医療現場へと行動経済学の知見を応用したという点に価値があるように思われた。工学的な印象、またこれぞ一般向けの本という印象を受けた。

個人的に興味深く思ったのは、利用可能性ヒューリスティックである。たしかに、身近にある手術で成功した人がいたらその手術の成功率を高く思うだろうし、身近にある手術で失敗した人がいたらその手術の成功率を低く思うだろう。単なる1つのケースに過ぎないのに、思いつきやすいだけですぐに影響されてしまうものである。

自分は先日手術をすることになったが、そのときに症状名を検索しブログを見るなどしてしまった。その際に、成功したという記事を読んだあとは成功するだろうと思ったし、失敗・再発したという記事を読んだあとは失敗するだろうと思った。そういった心理的な罠については知っているつもりの自分でさえ、この有様である。

こういった行動経済学的なバイアスに自覚的になった上で、諸々の意思決定を行いたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?