【読書】マイク・サヴィジ「7つの階級: 英国階級調査報告」

「7つの階級」という本を読んだ。

昔は階級の高い人はある映画を好み階級の低い人はそもそもその映画を知らないという状況であったが、近年ではその映画を映画館に行って観なくても観れてしまうので、階級による知識の格差というものは少なくなったと考えられる。しかしながら、結果として階級による趣味の違いがなくなってフラットになったかと言われればそうではなく、「他の人がその映画を好んでいることは理解しているが、自分は好きではなく嫌いである」という突き放したような見方になっていると述べられていた。この点は自分にもあてはまるのでちょっと反省的にならなければなと思った。

また、エリートも自分の階級を「普通」というという点が意外で当然であった。自分の評価を高めるために見栄を張って自分の所属をあえて高く言うことは自然だが、エリート層が自らを中流と述べるのはその点で一見不自然である。しかし、エリートという階級は特権と結びつくので、自分の状況を努力によって手に入れたものではなく下駄によって手に入れたもの、という解釈を生み出す。そのため、あえて自らを中流と述べることで、自分自身で成し遂げてきたとされることを大きめに主張する、ということになるのである。言われれば納得であるが、なかなか面白い現象であると思った。

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