【読書】井上荒野「あたしたち、海へ」

「あたしたち、海へ」という本を読んだ。おもしろかった。舞台は女子校で仲良し3人がいじめにあい、2対1に分裂させられる。2人はいじめっこの下っ端に吸収される形となり、1人はいじめられ転校するはめとなる。とはいえ3人はバラバラになったのではなく、表面では分裂しているが実は互いにつながりたいと思っているという状況である。結局彼女たちは最後まで分裂したままでいるのか、それともいじめっ子に抗い再び3人に戻ることになるのか。

まずはじめに思ったのは、学校という閉鎖的な環境がもたらすものである。例えば、「カワセミ」という鳥の名前を知っていても、それを知っていると知られるとカッコつけて~と反感を買いかねないので、わざと知らないふりをするという描写。出る杭は打たれるとはよく言ったもので、鬱々とした世界を少し思い出した。

また、この小説を読んだことによる気づきとして、こうした閉鎖的な環境は高校を卒業すれば終わりだろうと思っていたが、老人ホームでも同様のことが起こりうるということがある。とは言え、今は中学校の友達、高校の友達、大学の友達、職場の友達と色々な集団に知人がいるので、閉鎖された環境でも環境の外の知人とつながることで息苦しさから抜け出したい所だ。

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