【読書】羽田圭介「Phantom」

羽田圭介の「Phantom」を拝読した。現実逃避批判がテーマだと思った。現実逃避には2種類の現実逃避がある。1つはカルト宗教などにのめり込んでいくパターンである。就職活動に失敗した、結婚の機会を失ったといった弱った状態の人につけこみ、あなたが間違っているのではなくて社会が間違っていると唆し、現実から逃避させる恐ろしい存在について描かれていた。もう1つの現実逃避は未来を考えるものである。友達と遊ぶいまの時間を勉強に費やせば将来的に良い大学に入れるだろうからと行って青春時代を失うという行為は、その時代を行きていないという点で現実逃避である。この一冊ではこれらの2つの現実逃避の危うさや、現実の尊さが描かれていると思った。その点でもPhantomは言い得て妙なタイトルだと思った。

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