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模索中

『牛乳、外に出しっぱなしにしちゃったー』
というLINEがきた。やっちゃったねえ~って返せたら可愛かったのかもしれないが、共感するより先に『飲みなよ』って返した私は、可愛げがない人間です。

在宅ワークの彼と対照的に、週5日で出勤している私。『通勤しんどいから私も次は在宅できる現場にする』という話をすると、彼から『在宅いいかもしれないけど、リモート手当って会社から出るの?』って返しが来た。

なんかモヤモヤするなあって思って。
それで最近気付いてきたことがあって。彼とは目線の高さは同じなんです。だけど視線の動かし方は違う。
同じ問題を見ることはできるが、注目する部分が違うってことがある。

例えば、電気を点けっぱなしで出掛けちゃったとします。お互い『あ!もったいない!』って外出する前の自分を責めると思う。『なんで気付けなかったんだろう、次は気を付けよう』って後悔して、反省する。

大体の大枠は同じ。
でも、『後悔の理由』が違う。そこに私は、モヤモヤする。

つまるところ彼は、電気を点けっぱなしにしたことで『増えた電気代』に後悔するのです。請求書を想像して、もったいないって罪悪感を持って、反省する。
私は、電気を点けっぱなしにしたことで、無駄に『消費した電気』に後悔する。
いつも思い浮かべるのは、北極にいるシロクマで、ただでさえ人間の便利によって犠牲を強いてるのに、無駄な電気を使って苦しめてしまっている彼らを想像して、罪悪感を持って、反省する。そういう違いがあるのです。

続いて、牛乳を外に出しっぱなしにしちゃった彼について考えます。
彼は、牛乳に支払った200円が無駄になってしまったことにモヤモヤしてる。
でも私は、牛乳が飲めるって当たり前じゃないのに、その機会を無駄にしたことに対してモヤモヤしてる。
買えるって当たり前じゃないのに、飲みたいのに飲めない人だっていて、色んな人の手がかかって手に入るものなのに。200円を無駄にして悲しいかもしれないけど、あなたの過失で生まれたたくさんの『もったいない』があるんだよ。

そういう違い。
同じようにモヤモヤはできるけど、注目している部分が違う。だから『残念だね』って共感はできるけど、ちょっとすれ違ってるんだよ。
彼はそのすれ違いに気付かないし、これを説明して伝わる自信もない。

私はお金があるって重要じゃないと思ってる。もちろんあればいいよ。でも、お金に執着して、囚われて、視野が狭くなってしまうのならば、お金は二の次でいい。
彼はお金に執着しているところがあるんです。仕事を頑張ってて、残業もして、だから年収も私の倍以上です。
それは否定しないよ。人の価値観だもん。でも、私の価値観からすると、収入が多い分、彼には『私が人に対して感じる魅力的な部分』が少ないなって思うことがある。

そもそも私は資本主義社会に疑問がある人間なので、お金を持ってることに魅力は感じないです。経済力があるからって惹かれるわけじゃなくて、それより今ある問題に目を向けて、考える思考力がある人に惹かれます。
思考を殺して問題を見離すくらいなら、キレイな家に住めなくてもいいし、豪華なものは食べれなくていい。
おかしな世の中に順応してお金を稼ぐことに執着したくない。だって、おかしさのほうを解決しないと後々みんなが困ることになるから。

初めて会ったとき、彼は自分の年収を話し始めたの。だからこの人にとって『自分のアピールポイント』はそこなんだなあって思った。でも穏やかな口調だったし、同職ということもあってお仕事の話をできて楽しかったから、今まで関係を進めてる。
でもいったん、この先は考えたいなあ。

私の人生って恋人はマストではなくて、良い人がいたらお付き合いしたいというマインドです。
ひとりでも楽しいし、誰かがいたらまた別の楽しさがあるよねって感じ。
そういうわけで、恋人がいることで自分の在り方が制限されるって、まず有り得ないことです。

違いがあるのは分かってるよ。
分かってるんだけど、私にとって『制限が無い』ってどういうことなのか、どこまでの違いがありながら一緒にいることができるのか。
まだまだ模索中でございます。

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