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ヒーローの器

『なんかあったら言ってね』っていうのはジャブなんですよ。これを伝えたところで、本当に何かあった時に言ってくれるなんて期待してません。
その悩み事が大きいならば余計にね。

ならば何故、このワードを先に伝えておくかというと、相手に『この人は話を聞いてくれる人』って印象を持たせるためです。

ここまでが第一段階。
ですから、これで何かあれば言ってきてくれるだろうと思っている人は甘いです。
人が自己開示に至るには、いくつものハードルがあり、ましてや悩み事だとかセンシティブな情報なら尚のこと、誰かに打ち明けるのは簡単じゃない。
これを理解せずに、質問に乗りたがる馬鹿が多いこと、多いこと。

分かりますよ。悩んでいる人がいて、その相手に好意を持っているとして。お近付きになりたい・頼りにされたい・その人の特別になりたい、とか。色んな下心があるでしょう。
力になりたいよね。ヒーローになりたいよね。

だけど、よくあるミス。
相手は相談を求めていないタイミングで、勝手にアドバイスしてしまう。
その人のヒーローになりたい!が先走ってしまい、『助けてヒーロー!』が出る前に、登場しちゃう。
すげえダサい。迷惑。大きなお世話よ。

だいたいね、ひとりで何とかなるんです。だって今まで生きてるんだもん。
貴方と出逢って、突然、相手が弱くなるわけじゃないんで。それぞれ問題と向き合ってきました。解決もしてきました。

直近であったことですが、普通に会話してて、『今の私はこういう状況でね、これからxxをしようと思ってるの』って言ったんです。
すると『xxは良くないから、他に良い方法があるよ?』とか言われました。

親切心なのでしょうね。でもうるさいの。
『xxは良くない』っていうのは貴方の基準で、私は良い方法だって思って歩みだしてるんだから、大きなお世話なんだよなって思っちゃった。

要するに、ヒトにはヒトの乳酸菌。
貴方にとっての悪い菌は、誰かにとってはいい 菌かもしれない。逆もしかりで、貴方にとってのいい菌は、誰かに悪い影響を及ぼすかも。後者だったら大変ですよ。

これを、やっている人間がわりといる。
自分がヒーローになりたいために、本来は前向きであるはずのものを問題としてしまい、アドバイスと称した押し付けをプレゼンスしてしまう。
もし心当たりがあったらすぐやめて欲しい。そんなことしてくる人と話したくないもん。もっと心に余裕を持とう。ヒーローならば。

ここからは、最近思ったこと。
相手が悩み事だとか不安だとか、モヤモヤを持っていて、そのモヤモヤを取り除いてあげたいっていう時、まず現状把握のために、聞き出そうとしてしまう。
これは、よくない。

健康的なアプローチとしては、相手が『これを相談したい』っていう内容を、こちらが先に質問してあげる。これだと思うんです。

もしあなたが相手の『相談したい事』を察せないなら、その時点であなたは相談に乗れる器じゃないんだよ。
ヒーローにはなれないので、諦めてください。

冒頭に戻りますが、ここで察せた場合の分岐です。
『なんかあったら言ってね』というジャブの重要性なのですが、これを先に伝えておき、別のタイミングで、相手の『これを相談したい』という内容を質問してあげる。
これが上手くハマった時に、ようやく吐露してくれるのかなという気がします。

『この人は話を聞いてくれる人』って前提があるからこそ、自分から切り出すのは、なかなか難しいセンシティブな情報も、尋ねてくれたら…と打ち明けてくれる。

誰だって自分の心の部分を、人に見せるのは緊張するし、暴こうとされたら抵抗をしたくなる。
そっと寄り添って、察して、理解を示してあげるというのが、本当の優しさだと思うんですよね。

誰かを大切にするって、たぶんそういうことなんじゃないかなぁ。と、思いましたとさ。

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