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ホロカを考察する ~少し確率計算をしながら~

 2024年9月20日に発売予定のhololive official card game、公式略称ホロカ。
 少し確率計算しながら、あれこれ考えたことを書き散らす回。自分用のメモを兼ねる。


はじめに

 私は熱心にグッズを買い漁るタイプのオタクではなく、そしてそこまでTCGをハードプレーするオタクでもないのだが、"ホロライブ×公式TCG"の発売というニュースはやたら私の心をくすぐった。「こっちの沼においでよ」と左手を伸ばす、ジャケットのすいちゃんにいざなわれ、気づけば公式HPの予約開始日にパックを大人買いしていた。

今日もかわいい

 せっかくなのでTCGとして腰を据えて遊んでみたいとウキウキしている。まだカードプールが出揃っていないので、個別のレシピを練るのは後回し。今日はこのホロカというゲームの、大枠的なところを少し考察していきたい。

注意事項

・本記事は、確率や期待値的な観点から、どうやったら事故が減らせるかを主に考察するものになります。特定のカード・デッキタイプ・デッキレシピ・個人およびタレントを貶める意図は全くありませんのでご了承ください。
・確率計算はすべて手計算で行っていますので、誤りを含む可能性が大いにあります。簡略化して計算した部分もあります。ご容赦ください。
・本記事は2024年9月6日までに公開されたカードプール情報をもとに執筆しています。
・長くなってしまったので、途中計算どうでもいいという人は最後のまとめをお読みください。

確率から考察するホロカ

その1・多色デッキって事故りそうじゃない・・・?

 ホロカというTCGは、メインデッキとエールデッキが分かれている点に大きな特色がある。エールデッキは20枚で構成し、枚数配分は自由だ。
 各ホロメンが要求する特定色エールの個数はまちまちだが、現状すべての2ndホロメンが少なくとも1個以上の自色エールを要求する。
 エールデッキを単色20枚にすることで、いわゆるマジック・ザ・ギャザリングでいうところの"土地事故"、ポケモンカードでいうところの"エネルギー事故"に類するものから解放される。つまり多色デッキを使う場合は、"エール事故"に見合うだけのリターンが欲しい。

白エールでググるとビールがヒットするよ

 ここで例として、ゲーム序盤(3~5ターン目まで)にDebut→1st→2ndと順調にセンターホロメンをbloomできたケースを考える。理想ムーブを引いたときにちゃんと勝ち切ることは、TCGという不確定性ゲームでは非常に重要だ。

※以降、自然数+アルファベットtでターン数を表記する。例:3t=3ターン目

①エールデッキが白単(白20枚)
 これであれば、[白白白]を要求するアーツ[†漆黒の翼†]を持つ「2nd 天音かなた」がセンターホロメンであっても、最速3t目とて100%でアーツを使用できる。【かな単】強そう。

②エールデッキが白10枚・緑10枚
 構築済みデッキの【スタートデッキ ときのそら&AZKi】は、これらで構成されている。
 上振れて着地した「2nd AZKi」が、[緑緑無]のアーツ[デスティニーソング]を撃つことができない確率は、
   3tでは50%、4tでは31.3%、5tでは18.8%
である(※エールステップ以外のエール供給、例えば「SPOT 博衣こより」などを一切考慮しない場合)。
 これは結構致命的だ。「2nd AZKi」は[緑]の[SorAZグラビティ]も有するのでまだよいが、それでも3t目に何も行動できない確率は12.5%ある。ざっと見渡して、JPの2ndホロメンは自色エール2個以上を要求するアーツが大勢で、アーツがその1種類のみということも多い。

③メイン/サブ色で枚数に傾斜をつけるエールデッキ
 EN Promiseの子たちのカードは、多色を前提に性能がデザインされている。2ndホロメンが要求する自色エール個数は1個だ。例えば、七詩ムメイ、IRyS、ハコス・ベールズ、オーロ・クロニーの4軸を運用するデッキ【白赤青Promise】を考える。うわめっちゃ楽しそう。
 エールデッキを仮に白10枚・赤5枚・青5枚とした場合。5枚採用のサブ色である赤のホロメン「2nd ハコス・ベールズ」がアーツを使えない確率は、
   3tで42.2%、4tで31.6%、5tで23.7%、6tで17.8%
 せっかく上振れたのにコストが軽い[赤無]の[Disorder]を3割4割カマせないのは、ちょっともったいない。

 ただ実際には、【Promise】は「1st オーロ・クロニー」等で狙った色のエールをリクルートするギミックを取り入れることになるのと、デッキタイプがコントロール寄りになるはずなので、ゲーム序盤にサブ色のホロメンがアーツを使えない影響はそこまで強くないかもしれない。
 【Promise】の序盤戦略は、メイン色をセンターホロメンに据えてサブ色はバックでじっくり育てることになりそうだ。それならば次に、
 エールデッキを白15枚・サブ5枚とした場合。白のホロメン「2nd IRyS」が[白無無]の[約束の力]を使用できない確率は、
   3tで12.5%、4tで6.3%、5tで3.1%
であり、このレベルなら事故も気にならない。

 ということで、第一印象は「後ろ寄りのデッキならば多色でも運用できそう。アグロやミッドレンジデッキは、4-5tにはフルバーストしたいので単色にしたい」「自色2個要求のホロメン軸のデッキは、多色にするには工夫が必要」と予想しておく。メイン色はメリハリをつけ、10枚より厚めに取るのがよさそう。

その2・Debutホロメンの適正枚数は?――"ソロ配信事故"を避ける、という観点から

 コラボというルールもまた、ホロカの大きな特色だ。コラボにより①ホロパワーの貯蓄 ②コラボエフェクトの発動 という2つの恩恵が得られる。
 ホロパワーをコストにする推しスキルは、効果がどれも強力・発動タイミングが任意・ドロー運にあまり左右されない。またコラボエフェクトは、コストが不要で、引いたばかりのDebutやSPOTホロメンを即戦力にできる。
 そしてコラボにはターン1回制限がある。すなわち、序盤でコラボを行えないために生じたテンポロスは、容易に取り返せない。

 ホロカは原則、ソロ配信禁止である。
 (こと最終盤のライフレースではこの限りではないかもしれない)

凸待ち0人の例

※以下、特に断りなく"Debut"と記載した場合、"直接ステージに出すことができるDebutホロメンまたはSPOTホロメン"を指す。たねポケモンと類義だ。

 1t目にコラボするためには、初期手札7枚+1t目のドロー1枚、計8枚の中に少なくとも2枚のDebutが必要。これを満たさないと"ソロ配信事故"が起きるので、その確率を考えてみる。
 なお1回に限りロス無くマリガンを行える。初期手札7枚の中にDebutが1枚のみの場合はマリガン推奨だろう。
 2回目以降のマリガンは手札が1枚づつハンデスされる。2回目のマリガンを終えた時点で手札が6枚になるが、その時点でDebutが0枚の場合(結構稀なことだ)については、本来強制マリガンとなる。ここでは計算の簡単のため、誤差を無視し、0枚のままゲームが進む処理を施す。

①50枚中12枚のDebutを採用
 このようなデッキで、初期手札7枚に、Debutが0または1枚である確率は
   (38C7+38C6×12)/50C7 =45.8%
 マリガンを行うとする。同様に計算すると、マリガン後にDebutが1枚かつ1tドローでも引けない場合が24.7%。マリガン後にDebutが0枚の事象は12.6%で生じ、かつ再マリガン後に初期手札6枚+1tの計7枚でも引けない確率は上記の45.8%だ。
 これらをまとめると、初配信がソロ配信になってしまう確率は
   0.458×(0.247+0.126×0.458)=14%

 7回に1回は決して無視できない数値だ。ただ実際には、
・後攻は1tからドローソースを撃ってDebutを探しにいくことができる
・ふつうのパソコンを採用すると、疑似的に13枚目以降のDebutになる

 他の枚数も計算してみる。
②50枚中14枚のDebutを採用
  初期手札7枚に、Debutが0または1枚である確率は35.7%
  "ソロ配信事故"の確率は約8%

③50枚中16枚のDebutを採用
  初期手札7枚に、Debutが0または1枚である確率は26.9%
  "ソロ配信事故"の確率は約4%

 Debutを12枚未満に絞ってまで他カードを採用する構築はけっこうピーキーなので、そこまで心配は要らないのかもしれない。個人的には、ソロ配信事故防止のために、Debutとふつうのパソコンの枠で14枚以上は最低ラインと感じる。

 ちなみに、ここまでの記事は1t目の話だ。1tにコラボしたホロメンは続けて2t目にコラボできないので、2tまでに3人目を見つける必要がある。
 ちょっと計算が煩雑になるのと、ドローソースの影響が大きくなってくる(後攻だとLIMITEDを2回撃てる)ので、ここら辺にしておく。

その3・いわゆる「アイドルマイク族」は強いのか?

 『デッキトップを4枚みて特定の属性を持つホロメンをサーチするカード』、対象となる属性は様々だが、骨組みが同じカードが複数収録される。暫定的にこれらを「アイドルマイク族」カードと呼ぶことにする。

#歌 の部分は様々な属性が指定される

 これが強いのかどうか。運用する場合、基本的にホロメンカードは効果の恩恵を受けられるもので多くを固めることになりそうだ。比較対象は、同様にLIMITEDで、無条件3枚ドローの「春先のどか」だろう。
 「アイドルマイク族」のメリットは、上振れると3枚でなく4枚引けることと、ホロメンカードに限定して手札が増えること。デメリットは、下振れるとLIMITED権を費やしドロソを撃ったのに手札枚数が増えないことだ。

 使用以前の条件は無視し、4枚のデッキトップが同様に確からしいと仮定すると、
①ホロメンカード35枚のデッキとする場合、
  4枚ドロー・・・35C4/50C4 =22.7% →のどかちゃんに勝る
  3枚ドロー・・・35C3×15/50C4 =42.6% →わずかに勝る
  2枚以下ドロー・・・34.7% →のどかちゃんに劣る

 のどかちゃんより強力な効果が3回中2回発動できるラインが35枚である。
 なおドローソースであるこれを使用して、手札が増えない事故(デッキトップ4枚中0-1枚がホロメン)、機材トラブルとでも言おうか、"マイク事故"が生じる確率は7.5%。13回に1回だ。
 実際には、ホロメンカードをサーチする効果を持つカードは多く採用されそうである。この場合ゲームが進むごとに、デッキ内のホロメンカードは減っていくので、「アイドルマイク族」はのどかちゃんと比べて少しずつアドを失っていくことになる。

②ホロメンカード32枚のデッキとする場合、
  4枚ドロー・・・15.6%
  3枚ドロー・・・38.8%
  2枚以下ドロー・・・45.6%

 4枚×8種だと32枚になる。「アイドルマイク族」の採用が有力になるか否かの分水嶺はこのあたりになりそうか。"マイク事故"は12.7%、8回に1回起きる。

③ホロメンカード30枚のデッキとする場合、
  4枚ドロー・・・11.9%
  3枚ドロー・・・35.3%
  2枚以下ドロー・・・52.8%

 恩恵を受けるカードが30枚だと2回に1回以上の頻度でのどかちゃんの方が強力だ。これだと採用しにくそう。17.0%、6回に1回は機材が"事故"る。

 もっとも、ドロソが限られるホロカにおいては、両採用するレシピももちろん考えうる。2種の配分を決めるうえで参考にしていくことになる。

 余談だけど、超美麗な1st liveのジャケットイラストを使ってあるのにアイドルマイクのほぼ完全下位互換の「First Gravity」なんとかしませんか…?コスト払ってキャントリップつけるとか、せめて手札上限撤廃とか……

まとめ

 半分くらいのボリュームにするつもりがなかなか…。
 要約しておくと。

  1. 単色のビートダウンデッキはかなり安定感がありそうだ。多色デッキにする場合は、”エール事故”に見合うシナジーや強みが必要になる。Promiseのように、長期戦を見据え、自色エール要求が1個のホロメンは、多色でも強力なデッキが組めそう。またメイン色/サブ色でメリハリをつけた方が事故を回避できる。

  2. ゲームのシステム上、1ターン目に必ずコラボを行いテンポロスを避けたい。”ソロ配信事故”回避のために、Debut, SPOT, ふつうのパソコン合わせて14-16枚程度は最低欲しいところだ。

  3. ドローソースとして「アイドルマイク族」「春先のどか」のどちらを重く採用するか悩ましい。ブレがないのは「春先のどか」。ホロメンカード35枚を採用すると3回中2回は「アイドルマイク族」の出力が上回るが、"マイク事故"も発生しうる。

 発売前に大方のカードプールが公開されそうなので、強そうなレシピを予想する回も時間があれば書きたいなあというところ。次はもう少し軽めの記事にしたい…かもです。

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