コンサルタントな元文学徒

万葉集の研究者になりそびれ、今はとある総合ファームでしがないサラリーマンをしています。

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最近の記事

【読書録】日本のカーニバル戦争(ベンジャミン・ウチヤマ)

 日常の生活の中で自分は外力からくる熱狂に踊らされていないか、そう考えさせられる一冊だった。  日中戦争から太平洋戦争敗戦に至るまでの日本の文化的活動は、総動員体制下にあって、戦争遂行に都合のいいようによく統制されていたと、私も含め多くの人が印象していると思う。実際教育現場でもそういった教えがなされているし、この頃オンデマンドで日がな一日見ているNHKスペシャルの映像の世紀や、戦争特集でも大体において為政者によって統御される文化活動が描かれている。  しかし本書の著者によると

    • 【鑑賞録】映像の世紀バタフライエフェクト「大東亜共栄圏の3年8か月」

       「大東亜共栄圏」先の大戦で我が国のスローガンだったこの語、侵略を正当化する方便だったにせよ、表面的には欧米に隷属していたアジア民族の自立と共存共栄を目指すはずだったこの概念の盛衰を追ったNHKスペシャルを見て、「共栄」の主語について考えさせられた。  近衛文麿が東亜新秩序として、日中満を対象に提唱した概念は、戦火の拡大と共に、「大東亜」と対象を拡大して用いられ始めた。日本の勢力圏を示すという目的が先行した概念であったために、その運用の理念は漠として、それを語るものによって揺

    【読書録】日本のカーニバル戦争(ベンジャミン・ウチヤマ)