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#79 「怖い」の対処法/及川恵子

もお〜!

【往復書簡 #79 のやりとり】
金曜日(3/18):くろさわかな〈くだらないけど
月曜日(3/21):及川恵子〈もお〜!〉
水曜日(3/23):泖

先日の地震、おふたりに怪我がなくて本当によかったです。
私は11年ぶりにの大きな揺れの中「あ、これは死ぬ」と思いましたし、揺れの途中で一瞬停電になった時には「電気のないあの暮らしがまた始まるのか」と絶望的な気持ちがよぎりました。仙南地域も被害が大きかったようですね。角田市にある町中華の名店がまだまだ復帰できそうにない、というニュースを見ました。

修復が終わったばかりの青葉城跡の石垣もまた崩れてしまいましたね。
近所のスーパーに行けば地震の影響で流通が滞っていることをまざまざと感じるし、地震の被害の大きさを改めて痛感しています。

なーんて落ち着き払ったように書いていますが、あの時の私、手がわなわなと震えてしまいました。揺れが落ち着いた後も身体が揺れている感覚があったり、家がガタガタと揺れるあの音がずっと耳から離れなかったり。それにキッチンではマグカップやらサランラップが転がっていて、部屋には本が散乱していて。
(加湿器の水がこぼれていたのを見つけた時には愕然としました)

でも、
それもこれも、「もお〜!」と口にすることで、なんかちょっと怖さも「ふふふ」となりませんか?
(もちろん笑い事にならない被害を受けている人がいるのは重々承知です)

このニュアンス、伝わりますでしょうか。
「もう!」
ではなく、
「もお〜!(苦笑)」
といった感じです。伝わってほしいな。

本がぐちゃぐちゃ   「もお〜!」
食器棚から皿が飛んでる「もお〜〜!」
床がびちゃびちゃ   「もお〜〜〜!」
まだ余震が来た    「もお〜〜〜〜!」

なんだかこれを言うと、「あーん、もう仕方ないか!」という潔い気持ちと、「気持ち切り替えていくか!」という前進するような気持ちと、「わわわたしべつにこここんなののこわくないしさだだだだだいじょうぶだし」と自分の心が落ち着くような気がするんです。まあ、実際はうろたえてますが。それでも、「もお〜!」と口に出せば、怖がっている自分の頭を優しく撫でながら、多少の苛立ちと不安を発散できるような気がします。

とかなんとか言いながら最後に元も子もないこと言っちゃうけど、もう地震なんてもうまっぴらごめんだわ。二度と東北を襲ってくるなよ。

及川恵子