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#91 読書の夏

【往復書簡 #91 のやりとり】
①(7/8):くろさわかな〈生暖かい本〉
②(7/11):及川恵子〈信念とは?〉
③(7/13):泖

信念とは?


ここ最近あまり読書ができておらず、かと言って積読が増えるわけでもなく、本とは距離を取る日々です。どうしてなのでしょう。外に出る時だっていつもは文庫本を持っていくというのに、「あーん、なんだか読む気にならないんだよねえ」と本にはお留守番をお願いしてばかり。雑誌「ダ・ヴィンチ」をパラパラとめくっておもしろそうな本に目星を付けるものの、だからと言って購入するわけでもなく…。読書体力が低下中です…。

というわけで、今回は漫画で勘弁してください…。

前にもこのnoteで書いたのですが、ぜひ「チ。-地球の運動について-」を読んでみてください。こればかりは全力を込めておすすめしたい。夏休みの一気読みにもぴったりです。(ちなみに7/13まで1.2巻が無料で読めます)

おおまかな話は「15世紀のヨーロッパを舞台に、禁じられた地動説を命がけで研究する人間たちの生き様と信念を描いたストーリー」なのですが、その奥にある、言葉では言い表せないほどの宇宙の美しさと、得体の知れないものにどうしようもなく魅せられてしまう人間の心の尊さ、そしてその人の心を揺さぶる探究心の奥深さの描写が本当に本当に素晴らしい。
ページをめくるたびに、感嘆しすぎて「やっば…」とつぶやいてしまったり、感動のため息が漏れてしまうほどです。読んでいる間、感情がぐちゃぐちゃになって何度頭を抱えたかわかりません。
つい先日発売された最終巻では、宇宙や自然の美しさと人々の生死がリンクするような素晴らしい終わりを見せてくれました。(これはネタバレではないです)

天動説が主流だった時代に地動説の可能性に気付き、止められない探究心のままに動き出す。この先にどんなに犠牲があろうが、異端と呼ばれようが、死が待っていようが、信念によって進まずにはいられなくなる登場人物たち一人ひとりの純真な気持ちが胸を打ちます。
そして、「異端とは?」「信念とは?」「信仰とは?」「正義とは?」という問いを私に投げかけてくる。

読む人の生き方や考え方に深く差し込んでくるようなテーマ設定もまた、このマンガにどっぷりとハマることになった理由のひとつなのだと思います。

ちなみについ先日、アニメ化も発表されました。最高。絶対見るし。

とんでもない銃撃事件が起きたり、選挙の結果が悲惨なことになってしまって落胆したままの毎日です。当分はこの気持ちをくすぶらせたまま生きることになるのだと思います。「もうやってらんねえな」と思うことも多々あるでしょう。
でもそういう時にこそ、このマンガを読み返したいと思うほどです。
それくらい、自分自身を立ち直らせてくれる、火をつけてくれる作用があると思っています。

よければ、ぜひ。