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最期の姿へ 〜エンゼルケア〜

看護師2年目になり、読書という新たな趣味ができた。
小学生の頃は常に1・2を争うの優等生であり、友達がいなかった私は読書ばかりしていた。そんな私が中学生になり友達ができ、部活に励むようになった。文字を読むことも書くことも苦手になり語彙力が底辺のまま社会人になってしまった。休みの日、旅行が好きなため旅行雑誌を見に本屋に通ううちに、本屋に併設しているカフェに入り浸り本を読むことに面白みを感じるようになった。そこで出会ったのがこの本である。

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初めてエンゼルケアに入った時、なぜ人が死んでいるのに声をかけながらケアを行うのか疑問に思ったことがある。この本を読み、エンゼルケアはとても奥が深いケアだと感じさせられた。

この本と出会ってから、エンゼルケアに対する考え方が変わった。エンゼルケアをする時、家族の方にはデイルームでお待ちいただく。エンゼルケアの時間は本音で患者に語りかけられる最期の時間だと思っている。この時、患者との思い出がどんどん蘇ってくるため涙を堪えることがいつもできない。亡くなっているため、もちろん返事はないが声をかけながらエンゼルケアを行い、丁寧にお身体を綺麗にさせていただくことを心がけている。人としてこの世で見ることができる最期の姿だからである。

私の受け持ちだった患者のエンゼルケアに当たった。一緒にケアに入ってくださった先輩はいつものように病棟のシャンプーインリンスを手に取り、洗髪を始めた。マツエクやネイルをされており、どんなにしんどくても髪だけは週1で洗ってほしいと話していた方であった。私はロッカーに持参のシャンプーなどが入っていることを知っていた。真夜中であり、ロングヘアのため洗い直すと時間がかかってしまうため躊躇したが、最期の姿にするためのケアを疎かにしたくないという思いが強く、持参のシャンプーで洗わせて欲しいことを告げた。先輩は怒ることなく、むしろ、そうしてあげようと快く承諾してくださった。その後その部屋はいつもの患者さんの香りに包まれた。そして、お化粧はご家族にも入っていただき、患者自身のポーチから化粧道具をお借りし一緒にお化粧をすることができた。

後日、先輩から『あの時のシャンプー感動したよ。看護観素敵やね』と声をかけていただいた。これが私の看護観なのかと、その時気づかされた。自分の看護観は日々の看護だけではなく自分が生きてきた人生や学んだことから成り立っているのだと感じた。これからも自身の看護観を磨きながらも大切にしていきたいと思う。

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