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台湾で感じた、コンデジで歩きながら撮ることの意味

2024年3月16日から18日まで、高校時代の友人と二泊三日で台北に旅行に行った。これまでタイやフィリピンは一人旅を繰り返していて、その際はLeicaCLで写真を撮り歩いていた。今回は人と一緒なので、いちいち足を止めてファインダーを覗くというのはあまり現実味のない選択肢になる。前日のパッキングの最中に、迷いに迷ってLeicaCLを荷物から外した。カメラはCanon G9X mark2のみというシンプル構成。正直、写真撮影は半分諦めていた。まあ、旅行の意味は写真だけではないのだ。

それでも、現地に到着したらリストストラップで右手にG9Xをセットした。後悔はしたくなかったので、準備だけはしておきたかった。果たして、普段立ち止まってファインダーを覗くような場面で、足を止めることすら出来ない。やっぱだめだな、と思って、普段の撮り方を諦めた。足を止めず、普通に歩きながら、ろくに液晶も見ないで、Pモードでシャッターを切るだけにした。

そして、この体験はこれはこれでなかなかいいものだった。

普段はマニュアルモードで、F値やシャッタースピード、ISO感度を調節しながら撮る。場合によってはフォーカスもマニュアルにして、パンフォーカスを作っておく。パンフォーカスはセンサーの小さいコンデジのアドバンテージの一つだと思う。今回はそのやり方を全て捨てて、露出もピントも全て機械任せにして、構図すら禄に確認せずにシャッターを切った。当初は満足できないかと思ったが、意外なことに、これはこれでいい。何も考えずに、シャッターを切る。全ての撮影体験がこれだけでは寂しいが、時折こうした体験の機会があるのは捨てたものではない。
このような速写性のあるカメラとしてはGRの名前がすぐに上がるが、GRに比べてG9Xはセンサーは小さいものの、28mm時のF値は2.0とこちらはGRを凌ぐ。重さと小ささもGRに勝っており、これもまたなかなかによいスナップシューターと言えると思う。

街中で、何も考えずに撮った一枚。

行った場所が比較的狭く、他者との距離が近いのも幸いした。28mmという画角でも不自由を感じることが少なかった。開けた場所だと、広角レンズの画角は広すぎて収拾がつかないが、今回はそういう悩みも少なかった。当然手ブレ、ピンボケ、ひん曲がりのオンパレードだが、それはもう自分の技量の低さゆえなので仕方のないところ。

思いっきり曲がってますが、よしとします。

今回はPCも持っていかなかったので、帰国後に3日間の撮影データを一気に確認することになった。この、出来上がりをすぐに確認できない感じも意外に気にならなかった。もう少しもどかしさがあるかと思ったのだが。

しかしまた、失敗作も多かった。デジタルだからよかったものの、フィルムだったら悲鳴を上げていただろう。歩いているがゆえの手ブレと、確認不足と技量不足からくるピンボケ。この2つは避けて通れなかった。構図が気に入っているものが失敗していると、やはりちょっと凹む。

すごく気に入っているのだが、どこにもピントが合っていない。悲しすぎる。
カメラは見事に、奥の人を拾わずに手前の皿にピントを合わせていらっしゃる。。。
もはや手ぶれなんだかピンボケなんだか分からないというカオス。

失敗はあったにせよ、たまにはこういう撮り方もいいなあ、と思った。最初のミラーレスを買った直後のことを思い出した。Pモードで撮るのが楽しくて仕方なかった頃。たまにはこういう原点回帰も必要だろう。
EVFを覗いて写真を撮る場合、そこに見えるのは自分の視界とは違った光景で、だからこそEVFはとてつもなく便利だ。自分がEVFにこだわって使う理由もそこにある。露出やピントなどが事前に確認できるというのは、やはり大きい。
対して、今回のような撮り方は、自分の視界中心、という感じ。当然液晶での確認は可能なのだが、小さい画面でピントや手ブレを確認するのは限界があるし、そもそも混み合っている場所ではそうした確認自体が難しいケースもママある。特に滞在二日目の夜に訪れた九份は、EVFでは1枚も撮れなかっただろうというくらいの混雑だった。何より、自分の目で観た光景を切り取る、という感覚は、それはそれで面白いものだ。マニュアルモードでこうした感覚が味わえるほどに熟練できれば、それは素晴らしいことなんだろうな、と想像するが、現状のPモード優先の方式でも十分に楽しい。そしてこうなると高感度耐性やAF精度に拘る方の気持ちも少し分かるような気がする。
だがしかし、それでもなお、やはりLeicaで撮りたかった、と思うシーンもいくつかは存在した。特に台北のMRTの駅はホームの上が吹き抜けになっている洒落た構造で、混雑時の光景は本当に被写体として魅力的だった。上から、EVFを覗きながら撮れればなあ、と嘆息した。あと、夜はオートにするとカメラはシャッタースピードを長くして調整しようとするので、そこはもう少し工夫しようがあったかもしれない。このあたりは次回までに勉強すべき点だろう。

素晴らしい撮影機会を与えてくれた台湾には本当に感謝だ。台北の街は美しく、活気があり、古い街並みも自然に残っていて、何より人が魅力的だった。美しい街並みを歩きながら光景を切り取って撮影するという体験は、本当に刺激的だった。次はLeicaも持っていって、旧市街とか、西門あたりの夜景を撮りたいなあ、新幹線で台北以外の都市を回るのもいいなあ、などと早くも妄想中で、しばらくはこの国の魅力に惹かれ続けることになるだろう。ああ、またすぐ行きたいなあ。。。

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