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おフランスに立ち上る木管楽器の魅力:ジャック・イベール "木管五重奏のためのやさしい3つの小品"






だんだん肌寒く、太陽の暖かさもそろそろ惜しむように楽しまなければならない時季にさしかかってきました。今回はボージョレ・ヌーヴォー的なお季節だということでおフランスでおしゃれなお曲でザマスということでやっていくザマス

今回は珍しく(笑)短いのでまずは是非再生して楽しんでいただければ。ワインでも嗜みながら聴きたいですね。





木管五重奏は音の宝石箱や~

まず木管五重奏ってなんすか、という話ですが、室内楽(=小規模な編成をざっくりと指す。元々は教会やホールで演奏される大規模編成に対して貴族の屋敷で演奏されたことから)形式の一種で、

・フルート
・オーボエ
・クラリネット
・ファゴット(今回の場合はおフランスですのでバスーンざます)
・ホルン

の5つの楽器で構成されています。

ひらひらとした可憐さと気性の荒さを併せ持つお嬢様フルート、繊細でメランコリックなスレンダー系美女のオーボエ、守備範囲の広さが抜群の中性的イケメン女子クラリネット、ひなびた音の天然キャラファゴット、そしてなぜか一人だけ金管でアンサンブルに筋を通す男ホルンと個性の違いがかなり大きい楽器たちですので、それぞれが個性を主張するようなソロパートやメロディなどをちりばめた愉しい曲が多く賑やかです。個人的に一番好きな室内楽編成。

上にはってある動画が「三つの小品」のうちのひとつめなのですが、このイベールの五重奏もしょっぱなから個性の爆発。オールスター勢揃い。味の宝石箱や。

ハッピーセットかな、おせちかな、盆と正月かなというめでたさがあります。あらやだ。おフランスの話でしたわオホホ。



ジャズ、エスプリ、ミステリアス

イベールという人は1961年まで生きた人で、この曲が書かれた頃は新大陸の音楽であるジャズがヨーロッパでも流行ってきた頃。世界中の土着の音楽(オリエンタル・ミュージック)を取り入れ発展してきたクラシック音楽の例に漏れずジャズも作曲家にこぞって取り入れられています。この曲も第一曲にスウィングのリズム感があります。

そしておフランスの音楽のもうひとつの特徴はドイツ的な「シンフォニック」な重厚の音楽に対抗する“軽妙”と“洒脱”。



第二曲のロマンスは甘くなりすぎず、五重奏をさしおいてほぼ二重奏の秘密めいたやりとりに終始するイケズな小曲。



そして最終曲は華やかな締め...と思いきや人を食ったような導入と間の抜けたホルンで肩透かし。続く主題も遊びに満ちていてじゃれ合うように進行し茶目っ気たっぷりに締めくくり。都会人め...。


わずか7分ですがカッコよさ、ユーモア、おしゃれと魅力がたっぷりつまった良い曲です。生ハムがうまい。


それでは。