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【パクさんを追いかけたい】vs.名古屋グランパス:決定力=修正力【Jリーグ125試合目】

ご無沙汰になりました。パクさんを追いかけるコーナーです。8月の負傷離脱から調子が崩れてしまい、さらには再離脱、そしてその間にJ1昇格のチャンスも潰えてしまうというあんこくの秋を迎えてしまったパクさんおいかけマンですが、徐々に出場機会と調子を取り戻しようやく帰って来ました。

今回は開幕戦の相手だった名古屋グランパス。ぱ、パクさんが…パサーになってる…と度肝を抜かれたのも、もう遠い昔のようです。あれからぼくたちは何かを信じてこれたかな…夜空ノムコウには…といった心持ちで久しぶりのパクさん拝見となりました。

◆メンバー

パクさんのスタメンは13試合ぶりだそうで、そりゃ長かったなというところです。まあ、あの怪我した岐阜戦以来ですよね。Jリーグは125試合目となりました。湘南戦で密集地での強さがピカイチだった大竹がスタメン。石毛がウイングという珍しい配置になりました。多分スターターでのウイングは初めて。

名古屋グランパスは存在がチートのガブリエルシャビエルが負傷からまだ復帰とはならず。代わりに元岡山の押谷をもってきました。それ以外はいつものメンバーで、佐藤寿人さんはサイドですが、守備の仕事以外はやるこたあシャドウだよという感じでバリバリやっています。宮原和也さんは後方で絶対ボール失わないマンとして風間式サッカーの重要人物の一人として重宝されているようです。二人とも、本当にイイ所に見つけてもらいましたね…ウッウッ

◆試合経過

・キック&ラッシュの岡山と10分で適応した名古屋


キックオフから開始10分間は岡山が敵陣に迫る機会の多かった展開でした。最後尾からショートパスで攻めていく名古屋に対して前線3人をボールサイドに圧縮した一人一殺をしかけてボールを引っ掛けていきます。立ち上がり10分に関しては、いわゆる岡山らしい形というものが出せていたと思います。

合図は基本的にゴールキックなどのロングボールでした。空中をボールが漂っている間に配置を完了させます。試合開始時から塚川と赤嶺と大竹の位置が普段の岡山よりも密集していたのは、名古屋のショートパス志向を見越してのことであったと思われます。基本的には大竹と赤嶺がCBに当たり塚川と関戸が要となる小林・田口の両ボランチとデートをしていました。3バックだと余裕を与え決壊のきっかけとなりがちとなるサイドにはWBとストッパーが積極的に前にいる選手を捕まえにいっていました。

ここからCBを引っ掛けてのショートカウンターや関戸のボールゲインからのマイナスのクロスと決定機を作れており(なぜかハイライトに入ってなかったけど)、岡山としては悪くない立ち上がりだったでしょう。

・封じられたカウンターとマンツーマンの打開―SBからシャドウ、そしてボランチへ

ただ、岡山の守備のリズムは、カウンターを封じられすぐに一人一殺の追い付かない場所―シャドウにとってもウイングにとってもプレスに行くには遠すぎるSBのポジションーへとボールを回されてしまうことで乱れてしまい、試合は名古屋の一方的な展開となっていきました。この間約10分間でした。ピッチの中で対応を完結できるのはいいことですね…(切なさ)

岡山の攻撃はサイドから縦に仕掛けることが少なく(そのためのスペースが生まれないことが多いですし、スペースがあってもあまり仕掛けません)、ボランチの走力にかかっている部分大きくなっています。これはメンバーの個性のためですので、良し悪しは置いておきますが、それが名古屋戦についていえば名古屋の守備を機能させることになってしまいました。

岡山のマンツーマンが厳しければ厳しいほど、名古屋もまた厳しくマンツーマンにつくことが出来たわけです。それをかいくぐれたのは大竹くらいでしたので、岡山の攻撃はかなりの場合で自分たちの陣形が崩れたままボールを奪われることになりました。

そこからの名古屋の判断の早さが素晴らしかったところで、岡山のウイングが上がり切っていないうちにSBに配球し安全なビルドアップに成功していきます。岡山もなんとかCBボランチとのデートプランを立て直そうとしますが、それを逆手に取った青木亮太、佐藤寿人の両シャドウの引いてくる動きをスイッチにしてSBとボランチが動きなおして敵陣に迫っていきます。

この動きに岡山の選手が全く付いて行けず…シャドウとSBはちょっといけない場所に離れられてしまったので難しかったですが、受け渡しをせずにマンツーマンしていたことで田口と小林ががら空きになってしまったのはいただけなかった…一挙に宮原→青木・田口・小林→佐藤寿人や和泉といったサイドチェンジでの決定機が量産されていきます。しっかし相手に居るとわかる宮原様のエグさよ...止めて蹴るの化身かよ...

後手を踏んだ岡山ですがスタート位置を低くしながらもプランは継続して球際のバトルをしかけていきます。しかしながら生まれたスペースを即座に察知してボールを受ける青木亮太と来ないならこちらから仕掛けるぜという和泉竜司が秀逸で、岡山の状況は好転しませんでした。

宮原に行きたいパクさんですが、青木や玉田が出てきたり田口とかも来ると思ったらやっぱり大外から宮原かよとなりタイミングがとれずかなり炎上してしまいました。前線の守備が全くかみ合わない時のパクさんはどうしてもこうなってしまいますね…

左サイドから佐藤寿人が引いて受けてボランチを解放する動きが決勝点となりましたが(これは本当に素晴らしかった)、これは今までゴールキックを合図に全員で前からハメにいく岡山が、後ろがついてこず佐藤寿人のエリアがぽっかりあいたことに由来しています。痛恨の連動ミスでした。

それもこのような崩しの動きを何度も何度も繰り返すことができたおかげでしょう。何度も繰り返せるので、同じ失敗はせず何回目かでゴールができるということですね。

・ロビン・シモビッチ・オリエンテッド

後半になると岡山はこれではまずいと渡邉→澤口の交代で石毛を中央に戻し塚川を左のシャドウ~インサイドハーフの微妙な位置に落とした陣形で中盤のバランスを変えていきました。3-4-2-1に戻ったと言っていいでしょう。そして、岡山を撤退させそれによって生まれるペナルティエリアの外側からコンビネーションアタックを何度も炸裂させることのできた名古屋はシモビッチを投入します。ですが今度は逆に岡山に利する形になりました。

190cmを越える巨体とそれに似合わぬ繊細なテクニックを持つシモビッチは、ペナルティエリアでどんとかまえてさあ私に預けなさい、マークを引きずったまま決めるから、という、名古屋グランパスの志向とはある意味真逆を行く選手です。

岡山をペナルティエリアに釘付けに出来たわけなので、あとはシモビッチを置いて追加点をねじ込んでくれるだけ、という投入だったのでしょうか。控えめに見積もっても前半のポジション移動のめちゃめちゃさだと後半まで保てるとはなかなか考えにくいですので…

シモビッチという選手の絶対性は名古屋グランパスの攻撃指向を幾分分かりやすくしていました。岡山にとっては逆に狙いが絞れてボールを奪いやすい状況となっていたように感じます。

そして名古屋の本来のポジションを離れる攻撃態勢―自分たちの思い通りにボールが運べる場合はカウンターの守備で逆に数的優位により利点となっていた―によって生まれるスペースを赤嶺や交代投入されたオルシーニが突き、関戸や塚川持ち前の強さと運動量でフォローすることで、岡山がチャンスを増やしていくことになりました。オルシーニの投入によって赤嶺の競る位置が名古屋の選手の密度の薄い中盤に取れていたことで、前半はほとんど機能しなかった岡山の逆襲が機能し始めました。

・決定力=修正力

シモビッチとオルシーニの投入によってオープンな展開となっていった試合は岡山が敵陣でのセットプレーの機会を増やしたことで、再び高い位置からの守備が機能し始めていきます。後半に関しては田口泰士とマッチアップした関戸さんは超人みたいでした。奪い取って一気にシュートまでという(おそらく)理想形を出していました。ただし残念ながら最後が合わず。

セットプレーとそれに付随するクロスからのチャンスも名古屋の密集した守備を跳ねのけるには至りませんでした。パクさんもビッグチャンスを作りましたが、目の前に迫る武田をかわした赤嶺のシュートも枠を外れます。

三村を投入してパクさんを攻撃時の空中戦要員(守備時は本当に2ボランチの位置に居て肝が冷えた)に回して最後の攻勢を仕掛けますが、三村のミドルシュートもポスト。名古屋の完封勝利に終わりました。

同じクラブの中に優勝に値するチームと降格に値するチームをわずか2年の間に見比べることのできた経験から致しますと(そっとしておいてくれ)、チームの強さとはいかにハーフタイムや交代カードといった分かりやすい指示に頼らず適切な対応を選手全員が共有できるか、というところにあると痛感させられるところです。

勝利に値する緻密さが浸透しているだけでなく、それを選手が応用できるところまで揃っている必要があるわけで、今節を見たところですと名古屋グランパスにはそういった条件がそろっていたということでしょう。岡山としては、今季悩まされ続けているフィニッシュに至る再現度が今回も勝負を分けてしまった形になるでしょうか。

◆未来へ

岡山としては湘南戦に引き続き前へ行くという志向を出すことは出来ていたと思います。パクさんもプレスに行った時の強度はやはりシーズン当初に比べれば別人のようでした。それでもやはり立ちはだかったのは精度…

後背に走る形やセカンドボールに身体をぶつける形でのデュエルを勝ってスペースを突いた、というところまでは出来てもでは、そのスペースを基にどうやってゴールに迫るのか…というところがなかなかうまくいっていません。

湘南戦やこの名古屋戦でもそうでしたが、物理的には人もボールもゴールに近づくことは出来ていますが、相手の密度ももちろん高く、シュートのタイミングもコースも非常に限定された形でしかフィニッシュできていないので、なかなか入らないということになりました。失点に関しては複数点与えなかったことを称えたいところです。名古屋からボールを奪えた場面も少なくはありませんでした。カウンターを封じられたことによって守備のスタートのタイミングが取れなかったことの方にスポットを当てた方が良さそうです。

攻め手に関してはパクさんが貢献していたところも少なからずあるのですが、負傷離脱以降あまり仕事ができていません。ビルドアップにせよクロスにせよプレースキックにせよ夏場のような充実をもう一度見せてもらってシーズンを締めくくってくれればと思います。返す返すも充実していた時期の離脱が悔やまれますが、それ乗り越えて帰ってきてくれましたし、昇格が叶わなくてもサッカーは続きますからね。

三ッ沢は最も推しが近いスタジアムのひとつですのでとても楽しみにしています。ここからがパクさん THE FINAL…真のパクさんの時間だ…

では。