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もらったニワトリを捌く②

※前回の続きで解体の描写があります。苦手な方はご遠慮下さい。

 ニワトリの頸動脈を切ってから、だんだんと体が動かなくなった。動かなくなったあと、ピクピクと神経の反応があって、本当に動かなくなった。

 まずお腹を抜く。お尻にかぎ針のようにしたワイヤーを入れて、腸を引き出し、お腹の中を抜く。切れ目を入れて、手を入れて、腸から食道まで、人繋ぎの内臓を取る。

これが1番大変なのだけど、羽を全てむしる。特に風切り羽とお尻の羽が太くて1番抜きにくい。他の羽はパリパリと抜けていくけれど、太い羽は一本ずつ力を入れなければ抜けない。
茶色い羽が全て抜けるとぷつぷつとした皮膚と、皮膚の下にあるお肉の感触が顔を出す。
だんだんと暖かさが抜けて冷たくなっていくお肉はよく見る丸鶏の形になっていた。

まず、足と羽の部分を外す。関節がそれぞれあるから、その関節周りの腱を切れば簡単に外れる。
部位は左右対称のものと、心臓や砂ずりのようにひとつだけのものもある。こんなふうに捌いていると、いつも店頭に並んだお肉のことを思い出す。パックの中にたくさん入った心臓や砂ずり。一羽に一つずつだとすると、このパックひとつで何羽分のニワトリになるんだろう。
とても当たり前なことだけれど、改めて考えると私たちが生きるためにたくさんの命に支えられていることが分かった。

私はまた明日も息をして、食べて、寝て、生きていく。
何か答えが出ることはない。これからもたくさんの正解と出会いながら生きていく。

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