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LIGHT&DISHES ラボ・ディナー 会vol.4「キッチンの世界からインテリアを考える」レポート

1月16日(火)に〈LIGHT & DISHES Lab. ラボディナー会 Vol.4〉を開催しました。この事業は、月に1度さまざまな分野で活躍するゲストスピーカーを迎え、共に食卓を囲みながらそれぞれの世界観を学び合う会です。今回のテーマは「キッチンの視点からインテリアを伝える」。ゲストに本間美紀さん(キッチンジャーナリスト)をお迎えしました。
今話題のカスタマイズキッチンを取材して
本間 今のキッチンはカスタマイズがあたり前で、自分に合わせて使いやすくできるキッチンが増えています。収納の位置や機能もかなり自由度が高く、タブレットやスマホの充電がキッチンの引き出しの中で完結するくらいに、電気配線も自由自在です。「REAL KITCHEN & INTERIOR」ではそんなキッチンメーカーのカスタマイズを上手に使いこなす、事例の取材をしています。新しいライフスタイルの需要によって見えてきたキッチンはいつも本当に刺激的。
谷田 カスタマイズというテーマは、照明の世界とも近い感覚です。生活する人たちに寄り添う考え方ですね。
本間 キッチンの啓蒙活動が進んでいくにつれて、読者のレベルは上昇しています。並のキッチンデザインでは満足がいかないという方も多くいます。例えば、イタリアの高級システムキッチンメーカー ミノッティクチーネは、全ての素材が天然石で作られており、日本でも納品された実例が出来てきました。
谷田 最近も南青山にショールームをオープンしたということで話題になっていますよね。
本間 キッチンの上にデコレーションとして照明を吊るす方も本当に増えました。さらにキッチンや食のシーンがアウトドアまで広がっている中で、ポータブル照明のニーズも非常に増えているのを感じています。

谷田 今ではポータブル照明のほとんどが防水仕様になっています。現在のライフスタイルがそういう傾向を作っているように思います。アウトドアリンビングという言葉が使われるほどに、家と外の境目が緩やかになってきていますね。
建築と一体化したキッチンとは
日本のオーダーキッチンメーカーであるアムスタイルが手掛けた住宅の事例を見ながら本間さんは次のように解説をします。「この住宅は吹き抜けがあるリビングダイニングで、一見、広々していてシンプルすぎるほどの空間。5m幅のキッチンは図面上では大きすぎるように思えますが、空間のボリュームに適した見事なサイズです。これが建築とキッチンが一体化するということですね」
幅が5mもあることで、キッチンのバックセットの裏はユーティリティの導線として使えるようになっているそうです。
「一見、シンプルに見えますが、実はメーカーの方や、インテリアコーディネーター、建築家と綿密に話し合われたことで色々な機能が備わっています。」と本間さんは話します。

REAL KITCHEN & INTERIORとは
本間さんが編集執筆を手掛ける「REAL KITCHEN & INTERIOR」は、発刊して12年目です。メディアのブランドエクステンションとしてインテリアキッチンのセオリーだけをまとめた書籍や、若年層向けのリノベーションの本も出しています。一つのキーコンセプトを持ちながら、ライフスタイルの変化やデザイントレンドに合わせたテーマで構成するのが私たちのメディアの考え方です。」と本間さん。また、本誌のテーマを決めていく上で大切にしているユーザーインタビュー。その中には、次の時代を感じさせる言葉が隠れているといいます。取材をする中で、ブランドキッチンをリノベーションして資産価値を高めて売ってしまうような方もいれば、SDGsにこだわり自宅の庭に大量に生えているカラマツをキッチンの素材にして、循環させ使っているデザイナーの方もいるのだそうです。本間さんはそうして見えてきたユーザーの考え方に、輪郭を与えて本にしていると話します。

編集後記 今回は、ミラノサローネ国際家具見本市でもエウロルーチェ(照明)とエウロクチーナ(キッチン)を毎年交互にフォカースするほど、メインジャンルの1つである”キッチン”がテーマでした。”食”という人間にとって欠かせないもの、料理する場にこだわりを持っている方は想像よりも多く、時代のニーズを反映させたバリエーションに富んだキッチンがあると知りました。そして、オーダーキッチンには単に綺麗だとか、料理がしやすいだけではなく、引き出し収納にしても、導線計画にしても実際に使いたくなるようなこだわりと暮らしやすさへの配慮がたくさん見受けられたことにも驚きました。ぜひ、先月発刊したばかりの「REAL KITCHEN & INTERIOR SEASON X 12」もインテリアコーディネーターの方や、住まいづくりを検討している方など、多くの皆さんにも手に取って読んで頂きたいです。(LIGHT&DISHES/吉原千晶)

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