えびぬま

短歌。感想。練習。

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    好きな短歌の感想を書きます

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    短歌以外の感想(本や映画?)を書く予定

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    自分で作った短歌を掲載します

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短歌感想③

もう目覚めませんようにと液晶の青いあかりで塗るリップクリーム/笠木 拓 『はるかカーテンコールまで』 もう目覚めませんように、というかなしい願い。 このリップクリームは生きているうちにみずからでする死に化粧のように思えて美しい。 声よ、飛んでいるか という連作の中の一首。 冒頭歌のふたつあとには という歌がある。 こちらは夜の高速道路で車の助手席に座っていて、眠っている、眠ろうとしているシーンだろうか。運転席の人物に対して、今は言葉にすることを放棄して眠っていたい

    • 短歌感想②

      右手首にシュシュを巻いてる女の子が座るテニスコートの審判台/宇都宮敦『ピクニック』 エキセントリック、という言葉が、歌を読んでしばらくして浮かんだ。 この女の子の印象。 審判台に女の子が座っているから、ここでは本格的なテニスの試合は行われてないと思う。 たぶん仲間内でテニスをしているのか、サークルとかでわりとラフに。 でも、なんとなくテニス自体を誰もしてないように思えた。 それどころかふたりしかいないのではないか。 テニスコートのある大きい公園に主体と女の子がふたりで来

      • そもそもわけがわからない世界

        今までなんともなかったことが、突然不快になることがある。 一過性のものであることもあれば、しつこく生活にまとわりついてきて、それがもともと不快ではなかったことなのかどうかも、忘れてしまうほど続くこともある。 高瀬隼子さんの『水たまりで息をする』を読んだ。 夫が突然、風呂に入らなくなる。水がとにかく不快に感じてしまう。 徐々に生活に支障をきたすようになり、夫婦として、これからどう生きてゆくのか・・・そんな物語なのだけど、こういう症状?状態?になってしまうことに、あまり違和感は

        • ほむほむのふむふむ

          今月のほむほむのふむふむ(ラジオ番組)で、短歌を読んでもらえた。 パトカーのお腹にPOLICEと書いてありPOLICEっぽくない人が出てくる/海老沼夕 穂村さんの声で読んでもらえるのは、めちゃくちゃうれしい。

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          短歌ください

          ダ・ヴィンチ2月号の『短歌ください』のコーナーで、短歌を掲載していただいた。 にわとりの貸し借りをする叔父たちはどちらもPOLOのポロシャツ着てた/海老沼夕 穂村さんににわとりの歌をとってもらえたのは2回目で、うれしい。

          短歌ください

          映画『市子』を観た

          映画『市子』を年末年始で2回観た。 結構ヒットしている映画のはずなのに、田舎のさびれた映画館ではガラガラでほぼ貸し切りで観れた。快適に映画を観られるという点では田舎の映画館は最強なのかもしれない。来てほしい映画はほとんど来ないけれど。 『市子』が劇場で観られたのはラッキーだった。絶対来ないと思ってた。 予告編を観たときから胸を掴まれてしまった。 映像の影の感じとか、音楽の感じが好みだったんだと思う。 主演の杉咲花さんが、とにかくすごかった。 市子というミステリアスな人物

          映画『市子』を観た

          短歌感想①

           太るほど清らかになる生き物をあつめて顔を洗いたい、朝/平岡直子 『みじかい髪も長い髪も炎』    10代後半から20代前半、痩せることにとりつかれていた時期があった。 たまたま誰かに「痩せてるね」って言われたのをほめ言葉だと勘違いしたのだっただろうか、自分の価値は痩せていることにしかないと思い込んだ。 スーパーの2個入りのスカスカのシフォンケーキを主食として、肉や魚を口にすると太ると固く信じて疑わなかった。つねにイライラして、「痩せていること」の価値を強化してくれる情報を

          短歌感想①

          2023年に掲載していただいた作品から10首

            ☆2023年に掲載していただいた歌の中でも、自分が好きな歌、10首です。 レシートでパンパンになったお財布を外階段で君に見せたい  (東京歌壇 東直子さん選) なわとびはいつも隣でしてました こっこ卵を産まなくなった  (文芸選評 穂村弘さん選) ばあちゃんがシャンソン歌手になったのは琥珀にハマったあとだったっけ?   (短歌ください) 素麺を力を合わせ片付ける ときどき喋る 素足に9月  (文芸選評 永井祐さん選) ちぎれてもきちんと私ちゃんと雲 屋上でエスパ

          2023年に掲載していただいた作品から10首