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NIKKE研究各論(23)ひれふせ、女神たち
今回は、人間がニケを差別する際に使われる「ニケフォビア」という言葉とその構造について論じようと思う。
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勝利の女神というメッキが剥がれた瞬間から憎悪は始まる。
まずフォビアという英単語は、古代ギリシャ語で恐怖を表すポボスから来ている。ニケフォビアとは、言葉通りに訳すとニケ恐怖症となる。普通なら〇〇恐怖症だと、その対象に対して恐れを抱いて何も出来なくなるはずだ。例えば高所恐怖症なら高いところに行けないが、なんでそこに行けないんだとキレたりはしない。
クモ恐怖症では如何だろうか?これはクモを見ると動転するが、逃げたりする代わりに新聞紙なりを武器にして叩き潰そうとするかもしれない。対象が明確に存在しているので除去するのが1番早いからだ。
ただし、人間とニケにはかなり能力に違いがあるのはこれまで論じてきたので、新しく読み始めた方々は総論をどうぞ。コーディネイター(『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ)やニンジャ(『ニンジャスレイヤー』『忍者と極道』は忍者だし基本一般人を守る側)、ウマ娘みたいに「やめてよね、人間がニケに敵うわけないだろ?」という風に普通は言われそうなものだが…
しかし、ニケにはNIMPHという軛が存在する。これによって一部を除いてニケは人間に危害を加えられないのだ。戦場という特殊な環境を利用して、裏をかいてくる(誤射や乱戦に持ち込ませて暗殺、ということは往々にしてある)ことはあっても、日常生活でニケに酷いことをし続けない限りは安泰なのだ。
ここまで書けば、人間とニケに関して以下のことが横たわっているのがわかるだろう。
「言う事を聞くとは言っても、どこまで行ってもコイツらは私たちとは違う存在なのだ」
こうして自分達とは違うというラベリングを行ったため、一部の人間たちはニケを排除すべきだという思考に陥ってしまったのだ。しかも、タチが悪い事に中央政府もこういったスタンスを堅持している。ニケに融和的な指揮官を「反政府主義者」や「テロリスト」呼ばわりしているのが良い証拠である。
個人や集団に向けられる憎しみは、脅威や苦しみの多い環境から生まれる。私たちは自分を苦しめるものを、敵、すなわち排除すべき他者と決めつける。その敵が損害をこうむり、敗北を喫し、破壊されれば、それはもはや恐ろしい脅威ではなくなり、それとともに憎しみや怒りもおさまるかすっかり消える。心からほっとして、うれしくなりさえするだろう。まとわりついて離れなかった憎むべき敵から解放されたという安堵感から、人生をふたたび自分の手でコントロールしていると感じられる。
また
無力感による激しい恐怖が人間の恐怖の正体なのである。…無力感は、人間性そのものへの屈辱である。…なんとしても支配をにぎろうとする欲求(意味づけを通じて)に限度はない。
と『人はなぜ「憎む」のか』は論じている。
NIKKE世界の人類は、地下都市・アークに押し込められている。基本的には安全だが、絶対ではない。採掘資源も潤沢というわけではないので、早晩悪性の経済不況や食糧危機が起こるリスクを常に抱えている。
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さらに、人間同士でもアウターリムという化外の地を勝手に設けて、住民の一部は自由を求めてテロリズムに走っている始末である。
ニケはというと、アークガーディアン作戦以降はケチがつきまくっており、一向に地上を取り返せそうもない。せいぜい、優れたニケや指揮官がポッと現れて活躍して、それで終わりである。
一部の人間が、この無駄飯喰らいとニケを罵ってもおかしくはないし、そうする事で快楽を得られるなら喜んでするだろう。どうせあいつらはサンドバックに過ぎないのだから、という塩梅だ。
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また、ニケ特有の特徴なのだが、彼女たちは量産型を除けば基本的に多彩な容姿を持っている。つまり武器を持っていない時は、アーク内にどれだけのニケが人間のふりして生活しているか誰にもわからないのである。スクランブル交差点(あるかは知らん)で石を投げつけて当たったのがニケなのか人間なのかの区別すら困難であるなら、こんなに恐ろしいことはないだろう。人間並にリアルにしたマネキンがかつて生み出されたが結局のところ主流にはならなかったのもそこら辺に原因があるのかもしれない。
ちなみに厳密にいえば石くらいへっちゃらなのがニケで、血を流して喚くのが人間だ。
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ただ書いているだけでも、この差別構造はなかなか奥が深いので(書ききれない)、次回は恐怖を起こす脳のメカニズムについて続けていきたいと思う。
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