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NIKKE研究各論(31) 快楽依存症

 今回は依存症である。薬物が依存症を起こしやすいメカニズムを紹介するとともに、カフェインやショッパホリックなどの別のモノやコトからの依存も合わせて記す。

 まず、薬物依存には精神的依存と身体的依存が存在する。これはクスリによって形成され易さや影響の出やすさが全く異なる。
 なお、精神的依存は人間だけのものではなく動物すべてが持ち合わせている習性であると考えられている。

 依存を語る前に少しだけ心理学の話をする。スキナーは行動をレスポンデント行動とオペラント行動に分けて主に後者を研究した。

 彼は専用の箱を開発して、マウスが餌が出るレバーを押すように自発的に行動(operate)するように行動が変容することを観察し、それが確認できた。特定の反応に対して報酬(強化子)を与えるとその反応が起こりやすくなる(強化される)ことをオペラント条件付けという。

 レスポンデント行動を受け身的(反射的)行動、オペラント行動を有機体の自発行動と環境(刺激)との関係を理解しようとしていたということが出来るのである。ここからさらに社会心理学や教育心理学でも、生理的な基礎を持つような動因を重視し、空腹時に食欲が高まるとそれを低減するように人間は行動するという動因低減理論が図式化された。この理論では人は動因に左右され承認などの報酬を求めて学習を行うという受け身的人間感が窺えた。また、そのような人間をやる気にさせるには賞罰などの外的な力が必要だということになり、この様な動機づけを外発的動機づけという。
 しかしその後のレッパーらの社会心理学的研究では、外的な報酬は却って学習者の内発的な動機づけを奪うという主張がなされることになる。

 さて、話を元に戻してクスリが脳に与える影響を見てみよう。
 前の各論で少し書いたが、脳には報酬系という仕組みがある。具体的には、中脳の腹側被蓋野にある神経細胞の軸索が辺縁系の即坐核の場所にあるところで活性化すると、即坐核からドーパミンが放出される。すると満足する。そしてそれを記憶するのは海馬であり、何をどうしたら報酬が得られたかを認知するのが大脳新皮質の前頭葉なのだ。
 薬物を使用すると、この即坐核からのドーパミン放出や濃度増大が行われるため薬効も相俟って快感を得られる。するとまたやるかとズルズル泥沼にはまり込んでいく。
 ただし、薬物の場合は耐性が出来てしまう。すると同じ量でもだんだんと効き目がなくなっていく。なので不快感を覚える様になってますますクスリに頼ってしまう。さらに身体的依存により、体の不調をなんとかしたくて歯止めがきかなくなり、気づけば立派なシャブ中である。
 人間やめますか?
 クスリは一度でも手を出すと逃げられませんよ!!

 ではここからが本番である。基本的な報酬系の働きは前述の通りだが、個人的に快感を得られるものならば大体なんでも依存症になるといっても過言ではない(どうだろ?)。極論すれば脳汁ドバドバだせりゃなんだって病みつきになるんですよ!
 例えばインフィニティレールのブリッドさんはワーカホリックかつコーヒー愛飲者だ。1日に8杯はコーヒーを飲むというが、本人はコーヒー依存症と思われるよりワーカホリックの方が嬉しい様だ。なお機関士としての仕事が好きなのであって無茶なスケジュールまでは許容しないみたいである。
 また、エレクトリックショックのトロニーもエナジードリンクを水を飲むかの様に愛飲している。
 コーヒーとエナドリに共通する化学物質はカフェインである

ここのエレグは完全にオカンである。
なので私はトロエレ派です。


 カフェインは毒物とまでは言わないレベルの物質であるが、過ぎたるは猶及ばざるが如しで摂取過剰すれば中毒やカフェイン依存に陥る。
 カフェインの毒性自体は低く、半致死量は220〜250mg、一回極量は300〜500mgである。
 コーヒーや紅茶などを摂取すると脳は覚醒して気分はスッキリし、心臓は活発になり尿が近くなる。眠気をさましちょっとした疲労をとるのに絶好の嗜好飲料なのだ。
 カフェインの覚醒作用を説明するのは若干難しい。人間は疲労すると体内でアデノシンが作られる。アデノシンが増え脳内のアデノシン受容体に結合すると、覚醒を維持しているヒスタミンの放出が抑制されるため、眠気を及ぼす。が、カフェインは脳-血液関門を通って受容体をブロック!!
 また、この受容体は酵素に連動してcAMPを作る。これは細胞を活性化させるが、常時別の分解酵素により分解されて適量を保っている。しかし、カフェインは受容体のアデノシンの結合を防いでいるので分解酵素の働きを邪魔してcAMPの濃度を上げるのである。結果的に眠気が起こらなくなるこの作用が間接的なので副作用が少ないのである。
 そういうわけでカフェイン含有飲料を愛飲し続けていると、依存症が形成されることがある。コーヒー1杯分の100mgでもカフェインを欲する様になるという。
 精神的な依存は他の薬物と比べれば大したことはないのだが、身体的な依存や禁断症状は多少考えておいた方がよい。カフェインをとると血管収縮作用で頭痛を抑えるが、常用すると、急にやめた場合逆に血管が拡張した際の頭痛が起こったりする。他にも不眠、めまい、抑うつ、常に震え強迫観念に囚われるなどである。トロニーが陰キャで常にネガティブなのはこのためか?

 また、公式に依存症であるとされているのはルピーである。彼女はとにかくブランドものを買い漁らずにはいられないショッパホリック(買い物依存症)だ。なお買い物依存症は医学的には精神疾患とは認められていない。
 彼女の場合、タレント部隊一の個人資産を有する上にアパレルブランド経営者兼買い物の様子それ自体を動画配信するVチューバーでもあるのでそこまで問題にはなっていない(とはいえ億単位の出費を毎月行っている)。
 なお本編では名言はされてないがプリバティは金遣いが荒いのか、スピンオフ漫画でのメイドカフェバイトの理由が「買いすぎでお金がないから」だったりする。公務員だろ?

そしてプレイヤーの私たちは
ガチャ(ギャンブル)依存症に気をつけねばならない。

 作中例を用いたおおまかな依存症の説明はこのくらいにするが、砂糖を大量に摂取しバイクを乗り回すシュガー、ネットゲームに没頭しがちなエクシア・メイデン、タバコを吸っているクロウなど、依存症になり得る要素を持つニケは多い。
 ストレスの多いニケだがほどほどに!最後に依存症の種類一覧を載せておく。


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