#4 ラグビーは、紳士をまとった野獣
ラグビーは昔から紳士のスポーツと言われてきたが、果たしてそうなのだろうか?1974年生まれの我々の時代は、ラグビーというスポーツは現代みたいに戦術や個人個人のスキルが高いレベルではなかったので、15人全員がスキルフルなプレーでパスやキックを使った華麗なラグビーではなく、ぶつかり合いがメインのスタイルであったように感じる。そのため、相手とのコンタクトプレーが喧嘩の延長という考えの人も多くいて、試合前なんかはみんな殺気立って、今から戦争でもするんじゃないかと思えるぐらい気持ちを高めて試合に臨んでいた。
ルールも現代のように安全を最優先で考慮したルールではなく、タックルで持ち上げて地面にたたきつけてもよし、スクラムで相手を持ち上げてもよしと、今と比べたらなんでもありのルールで、試合中によくケンカも勃発してレフリーには咎められるが、退場になったりすることはなかった。
現在は競技性と安全性が確保されており、テレビマッチオフィシャルと言って、複数のカメラが競技場に設置され常に反則や危険なプレーをしていないか専門のレフリーによってモニターされている。レフリーから見えていないプレーもカメラに撮られるようになったため、危険なプレーや反則も随分減少し、反則をするとペナルティーキックを課せられ、試合の結果にも大きく反映されるため、いかにペナルティーを犯さないかがキーワードとなっている。
このように昔の荒々しく殺気立ってプレーしていたラグビーが、今は影を潜めているように感じるが果たして?
答えは、今も昔も変わりない!
たとえルールが変化しても、根本は同じ。
現代のラグビーは進化して、昔のぶつかり合いのコンタクトプレーはスタンダードであり、その上に華麗なパス回しとキック、そして綿密な戦術が乗っかかってきている。
つまり、接点での強さがないとラグビーの試合にはならないのであり、最低限個人が持っていないといけない能力となる。
昔の我々のラグビーは、恐怖心を振り払うために試合前に気持ちを最高潮に引き上げたものだが、現代のラグビー選手は、自分のメンタルをコントロールしながらコンタクトプレーができるほど、タックルやぶつかり合いのレベルが上がっており、トレーニングで体も鍛え上げているために当たり前にぶつかり合っているが、相手に立ち向かう気持ちは昔と一緒である。
ラグビーというスポーツは、あくまでも格闘技であり、普段生活しているテンションでは戦えない。日常生活で道端などで決してしてはいけない相手へのタックルやぶつかり合いで、打ち負かすとヒーローになれる。ラグビーは非現実的なスポーツであると所以である。
つまり、野獣の気持ちになった人間が集まったスポーツであり、野獣にならないと戦えない。
ラグビーは紳士のスポーツと言うよりも、
「ラグビーは、紳士をまとった野獣」という表現がしっくりくる。