物語批評‐うえの

元中学校国語科教員。小説・マンガ・アニメ・映画などいろいろな物語の批評や感想などを中心…

物語批評‐うえの

元中学校国語科教員。小説・マンガ・アニメ・映画などいろいろな物語の批評や感想などを中心に投稿したいと思います。

最近の記事

【メタファー】「旅のラゴス」のメタファー読みと構造読み【構造読み】

はじめに次に読む本を決めようと思ったときに、時々ネットで検索している。ある時どうしてもファンタジー小説が読みたい!と、「ファンタジー おすすめ 小説」と検索をかけて、いくつかのブログがヒットしたのだが、その中で紹介されていたのが「旅のラゴス」で、作者は筒井康隆だ。 kindleで購入して読み始めたのだが、とにかく面白かった。ジャンルの区分として「ファンタジー」で良いのか?どちらかというと「SF」ではないのか?という疑問は持ちつつ、それでも世界観と文体が持つ、「乾いた不思議さ

    • 【今更だけど】「NARUTO」から見る夢の目指し方

      はじめに 小学生の時、クラスでは「NARUTO」派と「ワンピース」派の派閥があって、時折思い出したように「どちらが面白いか」という議論が繰り広げられていた。わたしは「NARUTO」派で、海外での売れ行きを根拠に「NARUTO」の方が面白い。と主張していたわけだが、まぁ今となっては「ワンピース」方が一般認知度も高く、シリーズ累計売上も高いわけであり、勝手に「負けた」ような気がしている。しかしながら、今もどちらが面白い漫画かと問われれば、「両方面白い漫画である。」と答えよう。そ

      • 【軽ネタバレ】映画「君たちはどう生きるか」のメッセージ

        はじめに 「か」という終助詞には大雑把に「疑問」と「反語」という二つの意味がある。これは日本語の面倒くさいところで、例えば「なぜそうするのか?」と問われたときに、純粋な質問として捉えるのか、ある種の批判として捉えるのかによってひどく印象は変わる。この「君たちはどう生きるか」というタイトルは吉野源三郎著の小説が元になっているが、その場合単純に考えて「問い尋ねられている」ととらえるのが一般的だろう。しかし今作は宮﨑駿の「君たちはどう生きるか」であり、そのメッセージとしては「君た

        • 【今更だけど】映画「羅生門」と「物語創造性」

          ➀はじめに黒澤明が脚本と監督を手掛けた映画「羅生門」1950年に公開され、1951年には第12回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞、第24回アカデミー賞で名誉賞(現在の国際長編映画賞)を受賞している。いつまでも衰えない、まさに不朽の名作である。最近ネットフリックスで観る機会があったので【今更だけど】この作品のテーマやラストシーンの持つ意味について考えていきたい。 ②あらすじ原作は芥川龍之介の「藪の中」という小説で、同作者の「羅生門」ではないところに注意したい。(余談ではあるが

        【メタファー】「旅のラゴス」のメタファー読みと構造読み【構造読み】