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ギアさんぽ
好きなことのひとつに、散歩がある。
よく大学内を、ほっつき歩いている。
もし自分が売れっ子芸人で冠番組を持てたら、「ギアさんぽ」というロケ番組をやりたい。「ブラタモリ」みたいな。
自分のトーク力はゴミカス以下なので、当然その企画は実現しないのだが。
そんなどうでもいいことは置いておいて、僕が散歩をするのは
・数値計算の結果が出るのを待っている間
・研究で行き詰まったら
・勉強していて疲れたタイミングで
・眠いとき
・外の空気を吸いたい時
・記事のネタを練りたくなったら
・特に理由はない
そんな目的で、大学内をそぞろ歩いている。
働き出したら、この散歩する時間が自由に取れなくなるのが悲しい。
というのも、
散歩中は、面白いアイデアが思い浮かびやすいからだ。
創造力を高めてくれるらしい。
たしかに、昔の作家や哲学者、科学者などは散歩する日課があったイメージだ。
ベートーベン、ダーウィン、キルケゴール、チャイコフスキー、フロイト、アインシュタインもよく散歩していたらしい。
歩くことで、脳の血流をよくしているのか。
注意力を散漫させることで、ひらめきやすくなるのか。
詳しい理由はよくわからんが、とりあえず効能はありそう。健康へのメリットもあるし。
今のところ、たいしたデメリットもなさそう。時間が奪われるぐらい?それだけなら、メリットの方が多い。
*
ついこの前。
研究のプログラムのコードがうまく書けなくて、行き詰まっていた。
研究室で熟考しても進展がなかったので、研究室を出て大学内を歩くことにした。
頭の中は、研究のことでつっかえているけど、とりあえず歩みすすめる。
しばらく歩いていると、周りの景色へと注意が向き始める。
ちょっと前まで、あんなに緑が生い茂っていたのに、今は紅葉していて秋っぽくなったなぁ。
研究のことなんかもう忘れており、美しい自然に見入っていた。
特にお気に入りの道があって、
そこは人通りは少ないが、立派な並木が一直線に続く。
秋になると、紅葉したもみじが綺麗だ。
![](https://assets.st-note.com/img/1698887481689-tJPhGoVrwm.jpg?width=800)
ここを歩いていると、気分が落ち着く。人の気配があまりないのも、好きだ。このひっそりした美しさに、わびさびを感じる。
この道を進んでいくと、芝生が生えている場所がある。
ここも人の気配がない。
そこで寝転んで、ぼーっとする。服が少し汚れるが、まあいいや。
ただ上空を眺め続ける。
もみじをおかずにして。
![](https://assets.st-note.com/img/1698889592355-fWRiOnEDYT.jpg?width=800)
頭の後ろで手を組んで、雲の動きを目で追っていた。
「自由に漂っていて、いいなぁ」
「あの雲、わたがしみたいで美味そうだ」
そんなどうでもいいことを考えていた時、
あれ、研究のあのコードの部分、こうしたらいけんじゃね。
と、急に解決案が降ってきた。
これが散歩の効果なのか。
したり顔で研究室に戻る。帰り足は早かった。
さっそく、さっき思いついたことを試してみる。これはもしかしたら、突破口が開けたのかもしれない
修正したプログラムを実行する時、『サマーウォーズ』の主人公である小磯健二が叫ぶ「よろしくお願いしまぁぁぁす!」というセリフを、心の中で叫んだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1698888664818-f7EkzUqJrP.jpg?width=800)
緊張した面持ちで、結果を待つ。たのむぞ。
出てきた。
LoadError: MethodError: no method matching exp(::Transpose{Float64, Vector{Float64}})
Closest candidates are:
いや、今度は別のエラーが出るんかい!
現実は思っていたより、ずっと厳しいようだ。
3歩進んで2歩下がる。
今はエラーも解消され、なんとか打開することができました。それが面白い研究結果なのかはまだ分かりません。日々、悪戦苦闘しております。修士論文の締め切りが近づいて、焦る気持ちはありますが、散歩する時間はちゃんと取ろうと思います。ちなみに、「有吉くんの正直さんぽ」という番組も好きです。
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