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物理学科へ進もうか悩んでいる人に向けた5箇条

物理学を専攻して、はや5年と半年が経った。修士卒業への時期も着々と近づいている。

もしかしたら今この文章を読んでいる方の中に、物理学科に入ろうか迷っている人がいるかもしれない。謎多き物理学科。僕も入学する前、物理学科の実態がよく分かっていなかった。

というわけで今回、実際に物理学科にいた身として言えることを、書いてみたいと思う。一個人の意見なので、それが絶対だと思わないでね。



1.高校の授業とは全然違う

まず面食らうのがこれ。

高校の物理や数学の授業は、先生が丁寧に基礎から教えてくれます。面倒もしっかり見てくれて、生徒を置き去りにしないように気を払ってくれます。

だけど、大学の授業は違う。

内容はちゃんと教えてくれますが、高校生のような扱いはしてもらえません。「授業の内容が分からなければ、自分で専門書読んで勉強してこいよ」と言わんばかりに、自主性を求められます。


大学の先生方の本職は、研究です。教えることがプロである学校の先生方と、そこが違います。だから大学の先生はどうしても、授業の方に力を割くのが難しくなりがち。置いてかれる感はどうしてもある。

それで、高校までは物理や数学が好きでも、大学に入ってから大嫌いになる人が続出。

「こんなはずじゃなかった」と悔やんでももう時すでに遅し。定期試験やなんやらで、単位を落としてはいけないというプレッシャーに煽られながら、我慢して勉強する日々。

物理学を探究したいという積極性がなければかなりきついので、自分にそのモチベーションがあるのかもう一度胸に手を当てて考えてみてください。ちなみに僕はなかったです。



2.勉強仲間を見つける

これは先ほどの話に通ずるのですが、大学の授業は難しいので、1人だけで乗り切るのは茨の道になります。どうしても自分だけの頭では理解できないことに、ぶち当たります。

そんな時こそ頼りになるのが仲間。

教えあったり、分からないところを一緒に議論したりすることで、単位を取れるレベルまで持っていくことができるようになります。


僕の場合も、自分よりはるかに頭が良くて理解が深い友人に、抽象的な物理や数学の内容を教えてもらい、何度も助けられました。

あと、テスト勉強にしても周りが頑張っていると、それがいい意味でプレッシャーになり、モチベーションが高まります。

持つべきものは友だ。

コロナ禍に入学した学生は友達を作れる機会が整ってなかったと思うので、そこが本当に気の毒だと感じる。



3.ほぼ男子校

女子が非常に少ないです。僕の大学だと、男子:女子=7:1ぐらいの割合でした。

なのでただ大学に来て授業を受ける生活をしていると、女子と接する機会がめっぽう減ります。高校までの学校生活がいかに出会いに恵まれていたかを、ここで思い知らされます。

高校まで共学だった僕は、「男子校ってこんな感じのノリなのか」と新しい空気感を味わってました。


サークルや部活に入るなどといった、他学部の学生と積極的に関わる努力をしないと、男同士でつるむ生活が続きます。それはそれで、馬鹿騒ぎができて楽しいかもしれませんが。

インキャな僕はサークルや部活に入るのが怖く、受け身な姿勢だったので、恋愛経験が全然ありません。はい。詰みました。

方程式を解いてる場合じゃなかった。



4.研究室選びは慎重に

これは大学に入ってからしばらく経った後のことなので、今すぐ伝えておくことではないのですが、一応書き残しておきます。


学部4年になると、研究室に配属されます。

修士課程までいくと、プラス2年なので計3年です。

振り返ってみるとこの3年は結構長く、就活の時期と被ったりもするので、研究室選びはとても大事です。就活の面接では、研究内容は必ず聞かれる質問なので。企業によっては、スライドで研究内容を説明するのを求められることも。


研究室によっては雰囲気や1日のスケジュールがかなり変わったりする場合があるので、たくさんの研究室に足を運んで、いろんな人に話を聞くことが大切。研究室の先輩に「ぶっちゃけどんな感じですか」といった質問をしたりね。

僕は、ちゃんといろんな研究室のリサーチをせず、理論物理の研究室を選んだことに、めちゃくちゃ後悔してます。数学とプログラミングが大してできないのに、ノリと謎のチャレンジ精神(理論系は数学力とプログラミングスキルが必須)で、理論系に進みました。


その結果、この3年間とても苦しい思いだらけでした。どの研究室でも、苦しいことはあると思いますが。だけど、もうちょっと自分の適性を見極めてから、慎重に研究室選びをすればよかったぁと思っています。

生きた心地がしなかったですが(今もたまに不安で、そうなることがある)、困難なことに対する耐性は身についたかなと思います。

無謀な挑戦には気をつけよう。



5.と言いつつもなんだかんだ楽しい

物理学科についてネガティブなことを多く語ってしまいましたが、なんだかんだ言って楽しいところです。

力学、電磁気学、量子力学、統計力学などなど。これらのことを深く詳しく学べる環境は、物理学科には整っています。ただし、自分から積極的に動くという条件のもとですが。

高校の物理を習った時に、「なんでこの公式が成り立つんだろう」と感じたことは一度はあるかと思いますが、大学で習う物理はその疑問について答えてくれます。


身近な現象や、目に見えない小さい世界で起こっている摩訶不思議なこと。この世界の原理を教えてくれるのが、物理学の醍醐味だと思います。数式を使って論理的に話が展開されるので、そこが挫折しやすいポイントなのですが。

日常で出てきた疑問を物理学を駆使して考えられるのは、物理学科に入ってよかったと思える瞬間です。僕も記事のネタとして、物理学の知識に助けられることがよくあります。


一風変わった人や、面白い人もたくさんいるので、物理に向き合える覚悟がある人はぜひ物理学科へ。



ああ、それと。

そもそも物理学科へ進もうか考えている読者層は、このnoteにおいてものすごく少ない数だと思うので、この記事の需要は全くないよな。やっちまった。


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