理系は文章を書くことに向いていないのか?
一般的に、理系は国語が苦手だとされている。
数学や理科は得意だけど、言語能力を必要とする国語や英語が苦手。もちろん、理系でも、国語や英語を全く苦としない人はいるだろうけど。
そして僕は理系だ。もうすぐ大学院の卒業式があるが、物理学を専攻していた。
僕のセンター試験の国語の点数は、200点中115点。つまり、5割5分だ。センター試験の正答率が7割~8割の点数を求められるなかで、国語が5割5分と、かなり足を引っ張った。
二次試験で挽回できたので、なんとか今の大学に滑り込むことができたが、国語が苦手科目だったのは間違いない。
勉強しても点数があがらないので、途中から諦めていた。マークテストだったので、ほとんど運任せなところもあった。「よし、これだろ」と思ってマークを塗りつぶしたのに、毎度毎度、解答を見て裏切られるので、国語の勉強時間をさくことをついに放棄したのだ。
つまり、僕もご多分にもれず国語が苦手な、理系男子なのだ。
国語が苦手ということは、文章を書くのも苦手だと予想される。ファインマンやホーキングのような、研究の才能と文才のどちらにも恵まれた科学者たちもいるが。
文章を書くのは言語能力を必要とするので、自然な流れとして、国語が苦手な理系は文章を書くのも不得意だと推測される。
文豪である、夏目漱石や芥川龍之介、太宰治などはみな大学時代は文学を専攻している。最近の小説家の経歴を見てみると、やはり文系科目を専攻している人たちがほとんど。
純文学などはまさに、心の機微を表現をするのに繊細な言葉づかいが求められる。数式を解くことになれているが、理系にとってこれは難しいことだと思う。論理的思考だけでは無理。
「理系の作家は少ないのかな?」と思って、ネットでいま調べていたら、実は理系の作家が意外にいることが判明した。
東野圭吾、森博嗣、星新一、宮沢賢治など。
作品のジャンルとしては理系ミステリーやSFなどが多い。宮沢賢治は詩人・小説家だが、作品の中に地質学や天文学が関連していたりする。
なるほど、理系ミステリーやSFは科学的な知識がないと書けない。宮沢賢治のように、科学の視点を活かした小説や詩を書くという作戦もある。
文章を読みたいと思うのは、その人にしか書けない文章であるからで、なるほど、彼らはそのあたりの理系分野が絡むジャンルを狙っていたのかもしれない。
そういえば、自分は物理学を専攻しているのに、これまで理系ミステリーやSFにほとんど触れたことがない。星新一を少し読んでいたぐらい。
ということで最近、僕は『三体』というSF小説を読みはじめた。文庫本も出ている。
ちょっと前に、とんでもなく売れて話題になっていたのは知っていたけど、まだ読んでなかった。劉慈欣という、中国人の方の作品。本業はエンジニアで、発電所のコンピュータ管理をされているそうだ。
いまのところ、5分の2ぐらい読み終わった。感想はですね。
最高に面白いです。理系の話と文学的な表現が合わさった文章で、読んでてワクワクしてたまりません。タイトルの「三体」は、力学の有名な三体問題から来ているのかな。
ものすごく壮大なスケールで物語が進んでいる感じで、圧倒されます。冒頭のほうは、中国の歴史にある程度精通してないと、むずかしいかも。
そういえば自分って、科学が大好きだったじゃん。なんでSF小説をこれまで読んでなかったんだろ。たまたま触れてこなかっただけか。
『三体』は今日からNetflixのほうで配信されるそうなので、気になる方はぜひ。僕はまず原作を読み終えてから、Netflixのほうを観ようと思います。
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