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函館市 戸井地区の現状と課題 ③

1.イベントやワークショップが少ない地区

 戸井地区はイベントやワークショップが少ない。指定管理を請けている公共施設が戸井ウォーターパークか斎場ぐらいしかないため、少なくて当たり前かもしれないが、本当に少ないようだ。
 戸井地区には戸井西部総合センター、戸井生涯学習センター、戸井総合学習センターという市が直接管理している建物があるのだが、それを使ったイベントはあまりない。一応、貸室業務は行っているので会議はあるかもしれないが、民間がそこを借りて行うようなイベントはほとんどないだろう。

 そんな中で唯一盛り上がりを見せるのが10月辺りに行うマラソン大会らしい。その他は残念ながら何があるかはよくわからない(戸井支所は東部4地区でSNSアカウントを唯一開設していないため、認知しづらい)
 他に関してわかったのは、函館市のホームページにも掲載されている戸井地区在住の60歳以上の高齢者向け講座『戸井ふれあい学園』である。修業期間は1年で年間開催日数は6日(6回)だ。施設見学もあるので函館市で行っている高齢者大学よりはアクティブかもしれない。詳しい内容については下記の函館市ホームページより確認できる。

 あとは戸井西部総合センター、戸井生涯学習センターに函館市中央図書館の移動図書館「ともしび号」というマイクロバスが月2回程度来るぐらいがイベント(?)なのかもしれない。
 ちなみに各施設の貸室など概要については下記を参照していただきたい。

戸井西部総合センターは戸井地区では新しい公共施設。
地区の会議などはここを使用することが多いらしい。
和室、調理室もあり、グランドピアノなどの備品もある。
戸井西部総合センター外観
駐車スペースも充分にある。


戸井生涯学習センターは浜町バス停から歩いて2分。
近くにはクリニックや歯科診療所がある
バイパス側、海岸側からもわかりづらいのが難点。
茶室や工房、調理室などもある
戸井生涯学習センター外観
駐車スペースはあまりない印象


戸井総合学習センター外観
駐車スペースは建物下にある。
古い施設のため、老朽化が進んでいる。
以前はここで大規模な会議や催しが開催されていた。
戸井西部総合センターの利用者が多いため、
現在の利用率は低くなっている


2.指定管理者の消極的な姿勢


 さて、本来であれば函館市住宅都市施設公社が指定管理者である戸井ウォーターパークで何かしらのイベントがあってほしいが、現在のところはキャンプ場の繁忙期に行うちょっとしたイベントか ふれあい湯遊館の年度末の感謝祭と銘打って行うイベントくらいだろう。
 以前、同施設を運営していた株式会社吉田事業所の頃は函館市東商工会が主催する 商工会 秋の感謝祭というものが開催され、その会場であった。内容は戸井産マグロが当たる抽選会、パフォーマンスショー、海産物直売会、フードコーナーと無料でガゴメ昆布の汁物の配布、子ども向けコーナーがあったりなどかなり力を入れていた。その他の時期にもイベントがいくつかあったように思う。
 しかし、現在はこういったものがないように思う。コロナ禍であるからという理由であればそれまでかもしれないが、大規模なイベントではなくても他の市内公共施設はその中でイベントやワークショップを勢力的に開催していたので戸井だからということでは理由にはならないと思う。もっとも、ワークショップという点に関しては前指定管理者の時代から弱かった面はあるかもしれないが。

 イベントやワークショップ以外だが、気になる点がいくつかある。

 一点目は現在の戸井ウォーターパークではキャンプ場入り口前にあるバーベキューハウスが長らく利用休止中なのである。前回の記事でも述べさせていただいたが、こちらでは焼肉や戸井特産の水ダコのしゃぶしゃぶを食べることができる実質的なフードコーナーであった。戸井地区は飲食店が全くない地域のため、ここが唯一という場所であったのだが、コロナ禍の影響があったのか現在は閉鎖されている。
 これは考え方になるが、フードコーナーとして機能できなくても飲食スペースとしては利用できると思う。コロナ等は緩和した状況なので本来の用途でなくても限定的な使用としては可能と考える。他の公共施設では本来の用途とは別に新たな取り組みをしている場所もある(はこだてみらい館のコワーキングスペース等)。つまりは指定管理者の取り組み次第なのだ。キャンプ場内の屋外で食べれば良いだけではなく、こうしたスペースを使用できればPRに繋がるように思う。

 二点目は、SNSアカウントによる広報活動が少なくなっている点である。以前はSNSにイベント事ではなくても戸井ウォーターパークの紹介を含めていろいろと載せていたが、現在は少なくなっている。担当者が変わったためかもしれないが、函館市住宅都市施設公社の公園管理部のアカウントでは函館公園、元町公園、見晴公園など同団体が管理している場所の紹介やPRをよく載せている。比べてしまうと戸井ウォーターパークはやはり物足りない印象だ。
 戸井地区はたたでさえ観光スポットが少なく、飲食店もない空白の地であり、他の東部地区への通過地点と化しているので人が来るような広報活動をしてもらいたい。

 三点目は温泉保養所である ふれあい湯遊館内の修繕や改善が疎かになっている点である。
 私が5月にこちらを利用した際には脱衣所の壁が剥がれてセロハンテープのようなもので固定されていたり、コインロッカーの鍵故障でシリンダーが使えなくなっているものが目立っていた。壁に関しては昨年の11月頃からそのままなような気がする。また、サウナ室の すのこ板の裏側がが何かで削ったり擦ったのかわからないが、めくられたようにボソボソのようになっており、そのめくり上がった部分が表側にも接触しそうな形で危険なように見えた。本来であればしっかりと削るとか新しいものに換えるなど必要なのだが中途半端な対処になっていた。ちなみにサウナ室の座る場所の足元側の壁(?)も同様な削られ方をしている箇所があった。
 確かに築30年近い建物なので老朽化はあると思うし、ふれあい湯遊館はボイラーやポンプ故障が発生もあるようで予算が上手くいかないかもしれないが、小さな点を含めて改善していくのは大事ではないかと思う。脱衣所前に貴重品ロッカーがあるわけなのだからそちらを利用してもらうことを前提に一部に脱衣カゴやその棚を設置するなど方法はあるように思う。浴室スペースもコインロッカーの数ほどキャパシティがあるわけではないのでそこを考慮するべきである。
 他にも同施設はシャワー付トイレ、所謂 ウォシュレットがないので取り組む必要があるように思う。いや、キャンプ場側センターハウス内のだれでもトイレには設置されているが、他はないように思う。株式会社マルゼンシステムズが指定管理を請けている白石公園はこだてオートキャンプ場ではウォシュレットを設置するなど改善や見直しを行ったが、戸井ウォーターパークはそういった状況ではないようだ。

戸井ウォーターパーク ふれあい湯遊館 外観
地域住民、特に福祉券を使える高齢者の利用が多い。


3.地域として積極的な取り組みで人を呼び込む!


 前回の記事を含めてこれまでの内容では戸井地区は全体的に消極的な地域と思われるかもしれない。地域住民の中では公共の場に意見を言うのは余計なことであると考え、あまり口にしたくない人もいる(口にするときはかなり切迫詰まった状況かもしれない)。
 こうした背景は昔から漁業の町だったため、我慢や辛抱を美徳とするバックボーンが60歳以上に多いことが関係しているのではと思う。戸井支所はその地区にあるので消極的なのかもしれないが、他の東部地区はSNS活用を含めて積極的な動きを見せているのだから理由にはならないだろう。

 そんな戸井地区であるが、最近は積極的な動きを見せる場所が釜谷町にある。
 釜谷町には今年オープンした和菓子店があるのだが、かなり人気があって商品が完売することが多い。こちらはSNSの活用も積極的でPRもしっかりと行っている。また、その近くには水産加工の事業者があり、商品の直売所もある。こちらに関してもSNS活用には積極的でキッチンカーが来るイベントを開催するなど取り組みも行ったようである。

 このように戸井地区でも積極的な姿勢を示す事業者がいるのだから函館市戸井支所も戸井ウォーターパークも様々なことに取り組んでみるのはどうだろうか?

 戸井ウォーターパークに関しては恵山地区の道の駅「なとわ・えさん」が行う毎月イベントのような企画が大事だと思う。毎月までとは行かなくても隔月でキッチンカーなどを呼び込んだイベントを開催することにより、PRに繋がると思う。また、現在閉鎖中のバーベキューハウスもこのときには飲食スペースとして役割を発揮できるわけなのだから活用にも繋がる。
 この他にも飲食関係以外のイベントとして他の公共施設と協力した企画も可能だと思う。いくら指定管理者はライバル同士だからと言ってもある程度の協力は可能なはずである。また、戸井ウォーターパークは市内公共施設へのパンフレットがあまり設置されていないので各所にパンフレットを設置のお願いをして小さなPR活動にも取り組むべきである。
 ワークショップに関してもふれあい湯遊館が温泉保養所という点を踏まえてそれと併せたヨガや健康に関する教室を開催してもおもしろいと思う。函館はヨガを行う団体が多く、インストラクターもおり、意外にも男性の参加者もいる。また、函館市亀田交流プラザではヨガ教室を開催していてかなりの人気のようだ。こうした点からも取り入れてみるのはプラスになると思う。

 戸井支所に関しては既存の公共施設をもっと有効活用すべきである。戸井西部総合センターのようにアクセスが他の2施設よりも良く、新しい施設であるのだからいろいろと取り組めるはずだ。
 例えばではあるが、はこだてみらい館やGスクエアのように若者向けのワークショップやイベントを開催している場所と協力し、若い世代が参加しやすい取り組みはどうだろうか?
 昨今はプログラミングなどICT教育に力を注いだ学校教育も盛んであり、戸井学園でもそのような取り組みをしているようだ。はこだてみらい館はこうしたICTを学ぶ場を提供しており、これを戸井地区でも行えば効果はあるように思う。また、Gスクエアも指定管理者が共通ということもあるのでICTに繋がる催しを開催しているが、こちらはワークショップやイベントをより幅広く開催しているのでそれを活かすことができると思う。
 他にも函館市内やその近郊で活動する団体が貸室を利用してイベントを開催すればかなりの用途に繋がる。児童向けの演劇やピアノを使用した音楽イベント、ズンバやダンスなどのパフォーマンスを含む運動イベント、朗読などの文学イベントなど様々な利用があればそれだけでPRに繋がる。
 指定管理者ではないからそのようなことはしない、地域のコミュニティが大事であってそのことに反するとかそういったことは口にせずにやれることはやるべきだ。難しいなら指定管理者を募集して請け負ってもらうべきである。

 戸井の観光スポットに関してもやれることはあるはずだ。
 函館にゆかりのある歴史上の人物をキャラクターにして結成された
《HAKOMEN(ハコメン)》
 という二次元アイドルグループがいるのだが、その中の石川啄木(正確には史実の石川啄木)は汐首岬とも縁がある話を聞くのでそのまま戸井地区のPRに繋げれば良いと思う。
 HAKOMENの知名度は全国的とは言い難いが、少しずつ知名度が上がってきているので観光コンテンツとしてもそれを活かすのは大事だと思う。


4.戸井地区には英雄(ヒーロー)がいる!!


 さて、いろいろと書かせていただいたが、個人的にどうしても戸井地区に関して気になる点がある。

 それは、


お笑いコンビ オズワルドの畠中さんの出身地なのに地域住民にあまり認知されていない点である。


 いや、若い世代は知っているかもしれないが、60代以上になるとほとんど知らないのである。
 尋ねてみても、
「(戸井地区以外の)函館の人」
 とか
「北海道の人なの?」
 とか
「オズワルドってなんだ?」
 といった具合なのである。

 全国的にも有名なお笑いコンビの一人が戸井地区出身なのだから地域PRに繋げるべきと個人的には考える。
 例えばではあるが、戸井西部総合センター内にオズワルドの銅像などモニュメントを設置すればそれだけで知名度は上がる。設置費用がどうのこうのといったつまらない意見はこの際なしだ。また、観光スポット化でこれまでの利用者が利用しづらくなると言う意見を言う人には函館アリーナの展示やGスクエアのGLAYのモニュメントがあるのだから気にするほどではないように思う。
 他にも以前の記事で紹介した釜谷富士展望施設という哀愁しか感じない場所にオズワルドが来るだけでも聖地と認定されるわけだから何とでもなるのである。

 それだけにオズワルドの畠中さんは、

  『戸井の英雄(ヒーロー)』



 と個人的には思う次第である。

戸井西部総合センターのサークルベンチ前、
もしくは屋内にオズワルドのモニュメントがあると
地域へのアピール、観光スポットになるかもしれない。

この哀愁漂う釜谷富士展望施設も
オズワルド効果で聖地になるかもしれない?



 何もないと言われている戸井地区ではあるが、取り組み次第では何かがある場所になれるはずだ。また、最近は市内公共施設の会場予約が取りづらいところもあるので戸井西部総合センターのようなアクセス的にも妥協できる場所を活用してもらえればそれだけでもPRに繋がると思う。
 そして、何度も書いていることだが、戸井支所はSNSアカウントを開設して地域活動などの広報活動を行うべきである。函館新聞や北海道新聞に取り上げられたからそれで良いでは意味はないのである。この点を含めて積極性がほしいところだ。



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